コロナ禍による前代未聞の事態に襲われた映画界が迎えた夏興行。それは、苦境のなかの映画シーンの厳しさがどこまでのものなのか、どのくらいの人が映画館へ足を向けるのか、2020年の興行収入(興収、売上高に相当)はどうなるのか、といった現況を測る試金石でもあった。 その結果は、興行収入50億円超えが1作、30億円超えが2作、20億円前後(見込み)が1作と、関係者を驚かせる想定以上の好成績となった。そこから見えてきたコロナ禍における映画興行のあり方、秋に向けての課題、年間興行収入の行方について考えてみる。 「今日俺」「コンフィデンスマンJP」が牽引 緊急事態宣言とともに全国の映画館休業という未曾有の危機的状況に陥った映画界。5月末から映画館の営業が順次再開されるも、社会全体にコロナへの不安が影を落とすなか、洋画の新作公開が続いたがいずれも思うような成績には結びつかず、映画界全体が重苦しい空気につつま