2004年アジアカップ。日本対ヨルダン戦。当時、一ファンとして日本代表を応援していた私の目は、黒いシャツを着た男に釘付けだった。彼の名前はスブヒディン・モハド・サレー。“肘打ちしたように見えた”ためにこの試合で遠藤を退場においやったあの主審である。 そんな、まさに“中東の笛”ともいえる判定をいつか暴いてやろうと燃えていた私は、メディアパスを獲得してから、オフレコなど様々な場でスブヒディン氏へのコメントを煽った。しかし、出てくるのは「彼は、普段は教員で、非常に真面目な人間だ」ということだけだった。 FIFAやAFCの審判委員会に名を連ねている上川徹氏は「ホームタウンアドバンテージですか? そんなこと意識している国際審判員はいませんよ」と笑う。曰く「主審をやればわかりますけど、逆にそんなことをするのは難しいし、割り当てをもらえなくなります」という。 高田静夫氏は「FIFAは2002年以降、周到