今は夏、僕はあの冬の日を思い出す。 窓ガラスが結露で曇って、その向こうにある透明な空を隠していた季節。 クラスメイト全員の将来の夢を卒業アルバムに載せるために、藁半紙が配られた時、僕はすごく悩んでいた。 僕はその小学6年生の頃に、将来なりたいものなんかなかったし、将来のことなんて全然想像ができなかった。周囲の友達は、まあ、小学生がよく答えるような将来の夢ースポーツ選手だとかーをその藁半紙に書いているようだった。 僕はいくら頭を捻ってもその空欄を埋めることはできなかった。 空欄を埋めることができないのは、僕は周りの友達に比べて、何か欠けているんじゃないかと思ったことをよく覚えている。そのような当たり前を強要される環境は、今、思い返してみるとかなりの暴力だなと思える。 将来の夢は?好きなものは?そういうのがなくったって、別に変じゃないよと今の僕なら言える。 当時、一番仲が良かった友達は、発明家