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ブックマーク / bandshijin.com (260)

  • 潮の路 洋上の軌跡

    1月は阪神淡路大震災の周年。震災がきっかけで生まれた曲、『満月の夕』を最近味わった。今年は1月17日で26年経つ。 ソウル・フラワー・ユニオンは前から知っていたけれど、最近どんどん好きになっている。 バンドのフロント、中川敬を中心にその活動が多岐。いくつもの名義を使い分け、幅広く奥深いキャリアを歩んでいるのが彼らの公式サイトを見てわかる。 『満月の夕』を味わって、検索したり調べたりする中で他にもいくつかの曲名を知るに至る。 その中でひとつ、目をつけた。 潮の路 岸田繁カバー くるりの岸田繁が2016年にカバーを発表している。 波の音、ナイロン弦のポロリというイントロ、口笛の間奏。アコースティック・ギターでの弾き語り中心。サビのおしまいにかけて長くサスティンする音はなんの楽器だろう。複弦っぽい音もきこえる。Ⅴ→Ⅲmなどのリハーモナイズド(コードの置き換え)も効いている。キーはD。 ゆったりと

    潮の路 洋上の軌跡
    bandshijin
    bandshijin 2021/02/03
    中川敬ソロ名義、ソウルシャリスト・エスケイプのアルバム『ロスト・ホームランド』(1998)に収録。2016年にはトリビュートアルバムで岸田繁がカバー、配信が聴ける。トリプレットと歌の言葉が描く意志の軌道。
  • 満月の夕 26年越しの霊感 HEATWAVE、ソウル・フラワー・ユニオン 歌詞の違いについて

    昨日はこのブログで『満月の夕』について書いた。 検索したらあるドキュメントが見つかって、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)と山口洋(HEATWAVE)のこの曲における共作(あるいは分岐)の進み方がどのようなものだったのか、とてもよくわかった。 改めて曲ができた経過の端々を書いておくと、 ・アルバム制作中だった山口が中川宅を訪れてAメロを共作 ・阪神淡路大震災が起きる。中川は被災地をまわり、そこでの体験をもとにAメロだけだった曲をサビまで書き上げる。そのまま被災地でそれを歌ってまわる。『満月の夕』と題する。 ・中川の書き上げてしまったものを知り、山口が自分の立場から歌詞を書き加えたり中川版とはちがうものを付けたりして山口版ができる。 つまり、この『満月の夕』には中川版と山口版が存在する。 ソウル・フラワー・ユニオンによるパフォーマンス(文中私が中川版と呼ぶのに相当するもの) ふたつの曲に

    満月の夕 26年越しの霊感 HEATWAVE、ソウル・フラワー・ユニオン 歌詞の違いについて
    bandshijin
    bandshijin 2021/02/02
    ソウル・フラワー・ユニオン中川敬が書かずにいられなかったように、HEATWAVE山口洋もまたそれをしたのでは。認め合い、かつ対抗しているかのようなふたつのバージョン。刺激しあう仲はまるでライバル。満月はまた巡る
  • ザ・スパイダース『なんとなくなんとなく』幸せと好意はやけどのもと?

    earth music&ecology(ファッションブランド)のCMは私にTHE BLUE HEARTS『1000のバイオリン』(1001のバイオリン)を強く印象づけたという話を書いた。 earth music&ecologyについて検索していて出てきたWikipediaに次の音楽へのヒントがあった。 こちらのCMははじめて見た。 ザ・スパイダース『なんとなくなんとなく』 https://youtu.be/t-GY1ERBLzQ ザ・スパイダース『なんとなくなんとなく』。1966年のシングル曲。作詞・作曲はザ・スパイダースメンバー、ムッシュかまやつことかまやつひろし。 「なんとなく幸せ」。肩に力が入っていては逃げていってしまいそう。「なんとなく幸せ」という気持ちをいつも持っていられたらいいのに。それはむずかしいのかもしれないけれど、この歌がそれを閉じ込めている。この曲にアクセスすれば、私は

    ザ・スパイダース『なんとなくなんとなく』幸せと好意はやけどのもと?
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/31
    ザ・スパイダース『なんとなくなんとなく』(1966)。earth music&ecologyのCMでたどり着く。跳躍と順次を組み合わせたメロディがいい感じ。作詞・作曲のムッシュかまやつに音楽番組『アーティスト』を思い出す。
  • THE BLUE HEARTS『1000のバイオリン』4桁の道標

    THE BLUE HEARTSの『1001のバイオリン』を私が1番はっきり認識した機会は宮﨑あおいが出演するCMだった。 安易に検索してWikipediaが出て缶コーヒーのCMだとあり、そうねそれだったかななんて適当にひとり画面の前でうなずいたけど、よく思い出してみると違う。確か宮崎あおいが出ていた記憶があって、彼女が出ていたCMとTHE BLUE HEARTSの組み合わせといえばearth music&ecologyだと思い出す。『情熱の薔薇』が使われたバージョンもある。私が覚えているのは『1001のバイオリン』のほうのだけど(メディアでの使用が多いからいろんなうろ覚えが交じり合ってもうよくわかんなくなっちゃう)。 THE BLUE HEARTS『1000のバイオリン』は1993年のアルバム『STICK OUT』収録。 シングルカットされて、カップリングにストリングスをオケにしたバージョ

    THE BLUE HEARTS『1000のバイオリン』4桁の道標
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    bandshijin 2021/01/30
    1000代の数字や年号でずるずるといろいろ思い出す。私にとってのロックの象徴で道標。ぜんぶが「いもづる」というか、ばらばらかつ一体のものとしてぼわんと記憶している。THE BLUE HEARTS『1000のバイオリン』に寄せて
  • くるり『コトコトことでん』時空にまたがる音楽の鉄旅

    “ことでん”こと高松琴平電気鉄道を主題にした曲。 電車が走って行く様子を思わせる“コトコトコトコト”という擬態語のような擬音語のようなサビ。「ことでんで」との押韻でくくる。 私はまだことでん沿線を訪れたことがない。この曲が恋の初々しさやわくわく感も一緒に、現地の風景に私を連れて行ってくれる(歌の結びには老後?の八十八カ所巡礼まで…)。 間奏がクラシカル。何かのソナタのようなアリアのような、古典音楽への敬愛を感じる。私はヘンデル『オンブラ・マイ・フ』を思い出したけれど、どれとは特定し難いさまざまな名曲のエッセンスが入っているのではないか。クラシックの知識も「ことでん(琴電)」についての生の知見も持ち合わせていない私だからうまく解体しきれないけれど、きっと曲のテーマに沿った様々な暗示や示唆が込められているのではないか。 クラシカルな旋律なのだけれどエレピのようなトーンで表現されているので、音楽

    くるり『コトコトことでん』時空にまたがる音楽の鉄旅
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/29
    畳野彩加とのツインVo.で沿線の情景を魅せるくるり『コトコトことでん』。間奏のクラシック愛にどハマり。これをベースにした新作『プラプラプラレール』はUCARY & THE VALENTINEと。プラレールのスピード感を見事に表現
  • THE BLUE HEARTS『人にやさしく』認めの「ガンバレ」

    THE BLUE HEARTS『人にやさしく』はシングル曲で、自主盤が1987年、レーベル(ジャグラー)発のものが1988年に出ている。 何度かここのブログで書いていることだけれど、THE BLUE HEARTSは高校生くらいのときの私に歌える数少ないレパートリー源だった。あまり高いほうに伸びない声域の自分にコンプレックスがあった。ミスチルやスピッツも好きだったけれど、歌のハードルが高過ぎた。THE BLUE HEARTSのハードルが低いというわけじゃない。単純に、メロディに含まれる音程が自分の声域の範囲内だったと言いたいだけ。ただ、コード進行はシンプルだし構成やサイズもコンパクトにまとまっていて歌詞のことばも平易なものが多く用いられている。THE BLUE HEARTSは高校生バンドのコピーの対象として(必ずしもハードルが低いとはいわないが)「やさしい」ものだった。 やさしいって何か 「

    THE BLUE HEARTS『人にやさしく』認めの「ガンバレ」
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    bandshijin 2021/01/28
    「ガンバレ」は今のあなたのこと見ているよというフォローの表現でもある。対象への現状認知を欠いて放たれる「頑張れ」は「無配慮」や「残酷」との誹りを招くことがある。抽象的な「認め」も成立しうる。
  • THE BAND HAS NO NAME『Mistake』ロックの投げ分け職人 〜THE BAND HAS NO GAME? 〜

    THE BAND HAS NO NAME『Mistake』ロックの投げ分け職人 〜THE BAND HAS NO GAME? 〜 夜中にボーっとしてテレビを見ていた。いや、テレビがついていて、その前に居た。真剣に何かを見ていたのでもなかった。 すると、ふといい感じの音と歌が流れてきた。アニメのエンドロールだった。そのアニメをいつも見ていたのではなく、ただたまたまテレビがついているときに流れたものだった。 この音楽はなんだろう。バンドの音なんだけど、コードがもどかしくてきゅっとしてる。Ⅳメジャーセブンスの響きだ。 画面を注視して誰のなんの曲か求めた。字が出る。 THE BAND HAS NO NAME 名無しのバンド? Mistake 間違い? 声には聴き覚えがある。聴き覚えがあるもなにも、これは奥田民生ではないか。 THE BAND HAS NO NAMEと『Mistake』 THE BA

    THE BAND HAS NO NAME『Mistake』ロックの投げ分け職人 〜THE BAND HAS NO GAME? 〜
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    bandshijin 2021/01/27
    ボケッとしながら深夜テレビの前に居たら、ちょっと気だるいセンスの猛烈にいいバンドの音。ボーカルの声にはなんか聴き覚えがある。それは2005年、アニメ『ハチミツとクローバー』のエンドロールだった。『Mistake』
  • 井上陽水『リバーサイドホテル』不敵な濡れ場

    私が井上陽水『リバーサイドホテル』を知ったのはテレビだった。 なんの番組だったか忘れた。人による生演奏だったか。同じく、テレビで奥田民生によるカバーの生演奏を観た記憶もそれに混ざる。他の歌手によるカバーも多く存在する。 “ベットの中で魚になったあと”(『リバーサイドホテル』より、作詞・作曲:井上陽水) という歌詞が強烈に残った。なんか、えろい。 でも、単に「寝た(眠った、就寝した)」というだけかもしれない。もちろん、もっと動的なイミでの「寝た」かもしれない。あまり動かずにシてしまうことを「マグロ」なんて表現することもある。ベッドを川に見立てているようでもある。もちろん、そのベッド自体も川沿いのホテルの一室にある……という水場が入れ子になったような設定(「ベッド」でなく「ベット」と歌っているのも清らかで流れるような響きの尊重を感じる)。 リバーサイドホテル どこ モデルは リバーサイドホテ

    井上陽水『リバーサイドホテル』不敵な濡れ場
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/26
    井上陽水『リバーサイドホテル』。各地に同名ホテルがある。モデルがあるとも。単語の意味の重複にクラつく。水にまつわる表現は性的な活動を思わせる。奇しい艶めきを放つ音楽と言葉をタイトルがよく表現している。
  • UNICORN『ボルボレロ』寓話のようになる

    UNICORNのアルバム『シャンブル』は2009年発売。1993年『SPIRINGMAN』を出して以来のアルバム。バンドは1993年に解散、2009年に再始動。 スタッフの披露宴での演奏のために集まったことが再結成のきっかけのひとつとか。 『ボルボレロ』はそんな、久しぶりに出たUNICORNのアルバム『シャンブル』の収録曲のひとつ。 ボルボレロ 曲と歌詞 作詞・作曲とボーカルはEBI(堀内一史)。バンドのベーシストで、独特の声質は響きの位置がちょっと高め。 歌詞とタイトルに出てくる「ボレロ」はクラシック音楽で有名なあの「ボレロ」のことか。 モーリス・ラヴェルの書いた3/4拍子の舞踊曲。 ラヴェルのボレロはごく静かにはじまって長い時間をかけてエンディングに向かって徐々にクレッシェンドしていき、最後には狂ったようになる。蓄積する記憶や感情の肥大を私に思わせる音楽。 “悲しみが 少しずつ 降り積

    UNICORN『ボルボレロ』寓話のようになる
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/25
    UNICORN再始動アルバム『シャンブル』より『ボルボレロ』。ベース・EBI氏のソングライティングセンスの虜に。ARBに由来して名前がEBIになった堀内氏。私も好きなものの名前を語るとそれ自体の名前で呼ばれるようになる?
  • UNICORN『ヒゲとボイン』深遠な三角、二辺の道

    UNICORN『ヒゲとボイン』。1991年のアルバムで、表題曲はアルバムリリース後にシングルカットされた。 2009年の再結成以前のキャリアでは後期、再結成後も含めると中期くらい(暫定)の作品か。 会社に勤めている男性?の主人公と、若いくせに?ヒゲを生やしている社長と、やせてるくせにボインで主人公の隣席の同僚?の女性の3人が登場する歌。つくり話だとしてもなんだかありそうにも思える3人の関係。 この国のいち会社、局所的な箱の中で起こりうる人間関係をミュージシャンの奥田民生らがどうしてこうも能動的にはつらつと描けるのかと言いたくなる(かくいう私こそろくに世間を知らないが)。こういう描写ができることと、実体験を人を有するかどうかは必ずしも結びつくことではない。実体験があっても表現できるとは限らないし、なくてもそれができる。 漫画『ヒゲとボイン』 『ヒゲとボイン』は小島功の漫画のタイトル。これが

    UNICORN『ヒゲとボイン』深遠な三角、二辺の道
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    bandshijin 2021/01/24
    奥田民生ボーカルは勇ましく、「向かうところ敵なし」。この力強さと「ひとりの男の煩悩」という題材の矮小さ(あるいは深遠さ)の対比が、この曲の際立ったオリジナリティでもある。ユニコーン『ヒゲとボイン』
  • PUFFY『アジアの純真』めまいの韻律、変声のロック・オーケストラ

    作詞:井上陽水、作曲・編曲:奥田民生。PUFFYのデビューシングル、1枚目のアルバム『amiyumi』(1996)収録。 歌詞 井上陽水の歌詞にクラクラする。なんだこりゃぁ?! 思いつきの万国博覧会か。畳み掛ける押韻が気持ちいい。ごっちゃごっちゃの交雑した映像が頭の中に浮かぶ。 井上陽水といえば『少年時代』を思い出す。あの曲の歌詞のもつ意味のわからなさも非常に音楽的。意味を笑っている(嘲笑している)とも思わない。とにかく、響きであり音の快楽。ことばは意味を伝える側面があるけれど、発音の組み合わせであり羅列であり肉体と空気の振動であり体感であり記憶であり経験。そういうものを私は「詩」と呼ぶことにしている。だから、私に言わせれば『少年時代』や『アジアの純真』は極めて詩的。 個人的に1番好きなのは「ガムラン」が出てくるところ。 “美人 アリラン ガムラン ラザニア マウスだってキーになって 気分

    PUFFY『アジアの純真』めまいの韻律、変声のロック・オーケストラ
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    bandshijin 2021/01/23
    井上陽水の歌詞は幻惑の魔法。奥田民生の音楽でモリモリに、PUFFYの歌でヌケたパワー(脱力力?)を。Vocoderのこと、歌詞に出てくる名詞や地名のこと、PUFFYの周年記念関連の映像のことなど知る。大陸をつなぐ傑作。
  • くるり Jubilee (ジュビリー) 光陰揺らめく、音楽の思想(ことば)。

    真っ白なスタジオで端正ないでたちと、ラフな服装に野外風の背景の対比。マネキンの口にコラージュされたリップシンク、鹿(?)人間が腕を組み優しく揺れるシュールな映像。「タタタタ」と16分音符四つのモチーフ(音型)がドラムス(1:05頃)からエレキギター(1:12頃)へと渡るところがたまらなく好き。 ライブベストアルバム『Philharmonic or die』(2008)にウィーン・アンバサーデ・オーケストラとの共演が収録されている(上のリンク先の動画がそうか)。 後奏が曲の尺の半分ほどを占める。クラシカルな要素をもちつつロックかつポップのスタイルで純粋な音楽として風景・感情・思想・嘆きを描き、大衆の唇に宿る「歌」だと思う。複数のジャンルにくるりという集団が乗っかって雲のように渡っていく、独創的な曲想(くるりの近作に寄せて言うなら、万博的でもある)。『Jubilee』単体についてもそうだし、ア

    くるり Jubilee (ジュビリー) 光陰揺らめく、音楽の思想(ことば)。
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    bandshijin 2021/01/22
    複数のジャンル、時代にくるりという集団が掛かる唯一無二の音楽作品。その根底は最近のくるり作品に寄せて言うなら、万博的? 後奏で主音上に明滅するのはドミナントなのかサブドミナントなのか。壮麗、感無量。
  • 『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』光と影の宵の街 原曲のクリフ・エドワーズ&ディズニー・スタジオ・コーラス

    『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』光と影の宵の街 原曲のクリフ・エドワーズ&ディズニー・スタジオ・コーラス 星に願いを 『星に願いを』は、いろんなところでふれてきた歌。 私が高校のときの音楽の教科書にこの曲が載っていた。当時ピアノやギターで弾いてみたら、意外とコードが小難しいところがあった。でもそこがおしゃれでかっこいいし、きゅんとする響きでポイントだ。 大学のときに作曲の授業(私は音楽大学出身)があって、何かアンサンブルを書くことになったとき私はこの曲を題材にして3声部くらいの弦楽器とピアノだかギターの伴奏の編成を書いた(作曲というか編曲)。作曲と弦楽器のいずれも主科としていない私の級友(音楽教育専攻)たちに協力してもらって、授業内で演奏した記憶がある。 四分音符を中心とした、とても緩やかなリズム形のメロディを、ところどころの不安定で装飾的な音程やコード

    『星に願いを(When You Wish Upon a Star)』光と影の宵の街 原曲のクリフ・エドワーズ&ディズニー・スタジオ・コーラス
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    bandshijin 2021/01/21
    ジミニー・クリケットを演じたクリフ・エドワーズ&ディズニー・スタジオ・コーラス名義のものが配信されている。細野晴臣が自身のラジオで流す音楽を感じる。1900年代前半のアメリカの映画音楽?のような。
  • ゆらゆら帝国『恋がしたい』感情の海の底

    『ゆらゆら帝国のめまい』(2003)に収録。作詞:坂慎太郎、作曲・編曲:ゆらゆら帝国。 澄み渡るゲストボーカルは武田カオリ。ダブリングしてある。最小限の回数歌っているよう。ワンコーラス目の途中から坂慎太郎も1オクターブ下でユニゾンしたりハーモニーしたり。 ワウペダルでこもり・ひらきを繰り返しシックスティーンを刻むエレキギターはドラムスのハットとコンビネーション。二つのパートがシックスティーンを埋めても、ギターはニュアンスが常にワウワウと移ろうのでぶつからない。ベースは打点の数を抑えている。 ミュートしたトランペットが妖しい。間奏・後奏でミュートを外したオープンなサウンドで高鳴る。 左にコーラスがかったさびしげなギターの単音。歌詞“探しているよ”で、持ち替えたようにピアノが入ってきてアタマとウラを移勢でアクセント。 Ⅰ Ⅵm Ⅱm Ⅴ のコードの繰り返しだけど、「恋がしたい」のフレーズを

    ゆらゆら帝国『恋がしたい』感情の海の底
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    bandshijin 2021/01/20
    高校生のとき知って好きになったゆらゆら帝国。2枚同時リリースのしびれ・めまいより、恋がしたい。平静なボーカルの底に沈んだ感情か。ゲストボーカル武田カオリ。スロー・ミドルテンポでファンクにしっとりと。
  • 喜納昌吉&チャンプルーズ『すべての人の心に花を』と私

    毎年、5月になればそこここでおまつりが開催された。 日の東京の5月はなかなかいいもので、半袖でうろうろしても風邪を引かない。花粉症も一段落している。あと私の誕生月が5月だ。だからなんとなくイメージが良い…気のせいだが。(誕生日がめでたいというのも、なんでめでたいのか理屈を考え出すと実はよくわからないし、考え出すときりがない。) 話を戻そう、そこここでイベントが例年開催された5月頃だったけど、2020年はもちろんなかった。新型コロナウィルス感染症の影響があったからだ。「もちろん」と決めつけるのもおかしいけれど、各地の祭事や催しはことごとく控えられた。自粛の名のもと。 控えられた催しのひとつに、アースデーがあった。環境を考える日。私の住む西東京の志ある人たちはいつからかこれを掲げたイベントをやるようになり、近年の5月頃の恒例になりつつあるものだった…2020年までは。 かつての開催回で歌った

    喜納昌吉&チャンプルーズ『すべての人の心に花を』と私
    bandshijin
    bandshijin 2021/01/19
    国内外で多数のカバー版がある。本人たちによる演奏もたびたび更新されている。『BLOOD LINE』収録のオリジナル版を歌っているのは喜納友子。喜納昌吉&チャンプルーズ『すべての人の心に花を』
  • 高田渡『年輪・歯車』 ふたつの詩(有馬敲、山之口貘)

    詩の発表、収録アルバム『ごあいさつ』について 『年輪・歯車』は高田渡のアルバム『ごあいさつ』に収録されている。ジャケットや歌詞カードに『年齢・歯車』と明示されているけれど、何かの間違いだと思う。誤植が広まったのか。国会図書館 リサーチ・ナビで『有馬敲全詩集 上』の『くりかえし』の「Ⅱ 180」のところに『年輪』とある。 つまり、『年輪』は『くりかえし』という作品群に編まれた作品だと思われる。Wikipediaをみるに、1971年の発表作だ。 高田渡が『年輪』を曲をつけるための詩として取り上げたのは、私の思ったよりずっとスピーディだったのかもしれない。詩の発表から間もなく曲をつけたことになる。作品の初出が『くりかえし』で間違いなければ、の話ではあるが。 『歯車』作詩者の山之口貘は1963年に亡くなっている。こちらの方が古い詩なのだろう。『筑紫女学園大学・筑紫女学園大学短期大学部紀要第7号 稿

    高田渡『年輪・歯車』 ふたつの詩(有馬敲、山之口貘)
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    bandshijin 2021/01/18
    有馬敲、山之口貘ふたりの詩をくっつけた高田渡『年輪・歯車』。アルバム『ごあいさつ』がどんどん好きに。キセルのカバーも良い。
  • SUPER BUTTER DOG『サヨナラCOLOR』 振り向いたら何色?

    友達がこんなのあるよと教えてくれた。SUPER BUTTER DOGの『サヨナラCOLOR』なのだけれど、忌野清志郎と一緒にやっているものがあると知った。 楽曲と同名タイトルの竹中直人監督『サヨナラCOLOR』(2005年)という映画がある。 SUPER BUTTER DOGの『サヨナラCOLOR』から構想した作品。 ミュージシャンの多い、普通ありえないような顔ぶれの出演者。その中の一人に、忌野清志郎。竹中直人の人脈か。SUPER BUTTER DOG『サヨナラCOLOR』が竹中直人を動かしたのならば、竹中直人もまた人を動かしたのを思う。映画をつくるのは大変そうだ。多くの個性的な人を、集団を、さまざまな目に見えないエネルギーが誘ったのだろう。 歌のことば 『サヨナラCOLOR』は、「すでに何かのプロセスを共有している集団」に響くメッセージを有しているように思える。 “そこから旅立つことは

    SUPER BUTTER DOG『サヨナラCOLOR』 振り向いたら何色?
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    bandshijin 2021/01/17
    竹中直人監督の同名映画にもなったSUPER BUTTER DOG『サヨナラCOLOR』。忌野清志郎とのコラボ版が配信開始。「サヨナラから」⇔「サヨナラCOLOR」とした発想に、洒落と遊び心が達者なソングライターだなと思った。
  • 風の子守歌 別役実・池辺晋一郎 しがない詩

    『風の子守歌』は私が池袋の音楽大学の学生だった頃に知った。 知識も何もなくて、師事している先生の提案にあやかった選曲のもとに学ぶことが多かった。今でも知識はないが、自分でもっと積極的にレパートリーの蒐集や学習に励めば良かった。当時はとにかく実技を磨くことばかりに意識があった(その意識・意義がいかに狭かったか)。音楽の世界の広がりやつながりの魅力をなんにも知らなかったと思う。今でも知らないが。当時はその余裕もなかった。今でもないが…。 風の子守唄 作詞者、作曲者 『風の子守歌』は混声合唱組曲「六つの子守歌」(1978年)に含まれている。池辺晋一郎作曲、別役実作詞。 池辺晋一郎氏は私の通った音楽大学の先生。水戸のご出身とのこと。詩がお好きとのことで、詩から想を得た歌をたくさん作っていて合唱曲も多い。しがない作曲家だからないものねだりで詩が好きとおっしゃっている。物が言うとちゃんと冗談になる。

    風の子守歌 別役実・池辺晋一郎 しがない詩
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    bandshijin 2021/01/16
    跳躍をほどよく含むとあか抜けておしゃれな印象になる。第三者目先で語る歌詞。しがなくても詩がある。妙味あって爽やかな佳作。さらりと風のように歌いたい。池辺晋一郎・別役実『風の子守歌』。
  • Radiohead Exit Music(For a Film) ちりつく冷感と緊迫

    Radioheadを知った高校のとき Radioheadが抜群に好き。アルバム『OK Computer』は中でも1番好きだ。『Hail to the Thief』(2003)も好き。『Kid A』(2000)も……。 高校生のときにツタヤでCDを色々借りた。その中にRadioheadがあった。それで1番好きになってしまった。1番好きなバンドを聞かれたら、Radioheadと答えた。今でもそう答えるだろう。初めて知ってもう17、8年になるか。 『OK Computer』はツタヤで借りたのち、あまりにも気に入ったので高校生だった自分の小遣いで輸入盤を買った。中でも抜群に好きな曲がある。4曲目『Exit Music(For a Film)』。いや、『No Surprises』も。あ、『Electioneering』も……(全部好きだ)。 Exit Music(For a Film) 『Exit

    Radiohead Exit Music(For a Film) ちりつく冷感と緊迫
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    bandshijin 2021/01/15
    Radiohead『Exit Music(For a Film)』。映画『ロミオ+ジュリエット』に書き下ろされた。短和音が柔らかく妖しく冷ややか。ブーストしたバンドが煽る後半一度きりのコーラスが劇的。トムのVo.が冴え、浮遊感あるメロトロンが絶妙
  • 細野晴臣『恋は桃色』着床する黴絵

    HOSONO HOUSE 『細野晴臣と彼らの時代』というを買った。先月(2020年12月)の半ば。Twitterで著者のツイートが流れてきて知って、ネットで試し読みをしていいなと思って買った。そこにはある高校生がこのアルバムを購入して繰り返し聴いたというエピソードが書かれていた。その高校生というのも、星野源だった。 『冬越え』という曲についてここ(このブログサイト)で私は書いた。それを収録した『HOSONO HOUSE』は1973年の2〜3月に狭山の米軍ハウスで録られた。細野晴臣の自宅(当時の)である。レコーディング機材をエンジニアの吉野金次がリビングに持ち込んだ。ドラムスやアンプ、ローズピアノを寝室として使っていたベニヤと漆喰の壁の八畳の洋間に運び入れ、そこで収録したという。 このBEIGUN HOUSE…いや米軍ハウスはとっても寒いという。そこでの生活の匂い(のようなもの)が『冬越え

    細野晴臣『恋は桃色』着床する黴絵
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    bandshijin 2021/01/14
    米軍ハウスで宅録された『HOSONO HOUSE』。『冬越え』『恋は桃色』…着床してひろがった黴の菌糸みたいにこう、私の心に棲んでいるの細野晴臣の音楽。