高齢で認知症を疑われる状態での遺言作成は要注意 近年、「終活」が取り上げられるようになり、その一貫として遺言の重要性についての理解も進んでいます。一般論として「遺言はないよりあったほうがよい」と言えますが、遺言を巡る紛争では「遺言者が遺言を作成する能力があったのかどうか」が争われることもしばしばあります。特に問題となるのは、高齢で認知症を疑われる状態で遺言を作成した場合です。このような場合、遺言は有効と見なされるのでしょうか。 まず前提として、遺言を作成するためには「遺言能力」(遺言の内容を具体的に決定し、その法律効果を弁識するのに必要な判断能力)が必要とされます。民法では、「15歳に達した者は遺言をすることができる」と定めているため、遺言能力として必要な水準としては、法律行為一般より少しハードルが低い(有効な法律行為をすることができるのは成人してから)と言えるでしょう。分かりやすく言い換