先日、綿棒を使って耳そうじをしていてふと思ったんですが、「耳の穴かっぽじって聞け」っていう言葉がありますよね。 いったい、誰が初めに使った言葉なのでしょうか? ■江戸時代に流行した人情本、つまり胸キュンドラマ!? 「耳の穴かっぽじって聞け」 そのどことなくクラシカルな響きは時代劇を連想させます。しかも啖呵(たんか)を切る時に使うような威勢のよいフレーズだから、使い手は大阪の商人ではなく、ましてや京のお公家さんでもなく・・・そう、江戸っ子! そこで江戸時代の文献を探してみると、こんな一文を見つけました。 「ヤイ、耳の穴ァかっぽじって、よく聞きゃアがれ。かたじけなくも尊くも、小梅の姉御お由さんの弟分、古風のようだが、くりからの龍吉さんたア、おれさまのことヨ」 江戸時代の人情本『春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)』に登場するセリフです。 人情本とは下町の人びとの恋愛模様を描いた連載小説のこと