ここ数年、東芝やシャープ、ニコン、JDIといった日本の大手製造業で再び早期退職募集がブームとなっている。日本の場合、人員整理は割増退職金等を用意したうえで退職希望者を募集する早期退職募集以外にないからこうなるのは仕方がないことではあるが、組織再生の手段としては非常に効率の悪いアプローチと言える。いい機会なのでまとめよう。 早期退職募集成功のカギを握るのは組織の成長ビジョンの有無早期退職募集といっても、完全にフリーハンドで退職希望者を募集するお人よし企業はまずない。退職者を募りたい事業部門を絞り、さらに「手を挙げても出来る限り慰留すべき人材」と「手を上げなくても出来る限り退職してもらう人材」に分けたうえで、対象者全員と人事部が面談、経営側の望むような結果に手動で誘導するのが基本のアプローチだ。 ただし、慰留といっても年功序列の日本企業では原則として「残ってくれたらサラリーを3割引き上げますよ