九州大の目野主税(ちから)教授(発生生物学)らの研究グループは、妊娠前からの糖尿病によって胎児に生まれつきの心臓病が生じる仕組みを解明したと発表した。 8日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。妊娠前から糖尿病があると、胎児に心臓などの先天異常のリスクが高まることが知られているが、その仕組みは分かっていない。 グループは糖尿病のモデルマウスを使って実験。妊娠初期に、心臓や消化管の元になる細胞が左右逆に形成されるなどの異常が見られ、正常な臓器を形成するために働く遺伝子が消失していることがわかった。 目野教授は「妊娠初期に一時的でも血糖値が高くなると、内臓の形成に影響を及ぼす高い可能性が示唆された。妊娠前からの血糖値の管理が先天異常の予防に重要なことが改めて示された」と説明している。