防衛用にも民生用にも使える軍民両用技術「デュアルユース」。ロボットやAI(人工知能)、通信などの各分野で防衛用と民生用の境目がますます薄れつつある中、自衛隊向け装備の調達などを担う防衛装備庁はデュアルユース技術を重視。研究委託費の大幅拡充をテコに、有望な研究を抱える大学や民間企業への接近を図る。 一方、第二次世界大戦への反省から、学会では「軍事研究」への根強い警戒感がくすぶる。研究者の全国団体である日本学術会議は4月にも、防衛装備庁への対応などについての基本方針を公表する。 「今の時代、技術に防衛用も民生用もない。厳密に区別するのは難しい。資金の出所がどの役所でも、研究に役立つのであれば科学の進歩のために活用するのは当たり前だ」。ある有力国立大学の副学長はこう指摘する。 防衛装備品に関わる研究は従来、防衛省の研究機関や三菱重工業など伝統的な防衛企業を中心に開発が進んできた。対象は戦車や艦艇