帝京大病院(東京都板橋区)で入院患者46人が多剤耐性の細菌アシネトバクターに感染していた問題は、4〜5月の段階で16人もの感染者を出しながら公表が遅れた事態に、病院の内外から驚きと批判の声が出ている。 欧米で被害が相次ぎ、日本でも警戒感が高まっていたアシネトバクター。感染症の専門家らは「社会全体での情報の共有化」の必要性を強調している。 「うちの病院なら、この菌の感染が1件でも疑われれば、まず保健所に連絡する。同時に、すぐに感染状況を調査して拡大防止に取り組むはずだ」。院内感染の研究に力を入れる順天堂大学の堀賢准教授(感染制御科学)はそう指摘する。 帝京大病院が保健所に状況を報告したのは今月2日で、翌3日に記者会見して報告の遅れを謝罪した。堀准教授によると、院内感染への対応は病院ごとに違いがあるのが実情。堀准教授は「菌が患者とともに病院内に入ることは防げない。だから、散発的に見つかるだけな