コロナ禍に伴う恋愛停止が日本経済にもたらす最大の災いは「少子化の急加速」だ。専門家からは「コロナ禍で日本の少子化は18年早送りされた」との試算も出始めた。少子化どころか、子供が周囲に見当たらない「無子化社会」の到来が迫りつつある。
塩野義製薬を含む日本の製薬会社のワクチン開発が欧米勢より遅いのはなぜでしょうか。 手代木功・塩野義製薬社長(以下、手代木氏):ワクチンや治療薬、診断薬を開発するフットワークが重いのではないかと見られていることについては、真摯に受け止めないといけないと思っています。 もちろん、日本の製薬会社は規模が欧米に比べて小さいとか、バイオ医薬品の潮流に全体として乗り遅れたとか、そういった理由もあるでしょう。ただ今回、欧米で接種が始まっているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンにしても、ウイルスベクターワクチンにしても、日本にそうしたプロジェクトをやるベンチャーや製薬会社がなかったのは、産官学でそうした基盤を育ててこなかったからです。その点については、欧米に学ぶところは多いと思います。 また、緊急事態だという割には、緊急時に備える制度が不十分という点もあります。米国では、Emergency Use
大手企業のソースコードが「GitHub」に流出したことが話題になっている。誤解してほしくないのは、今回の件でGitHubは全く悪くないことだ。問題はモラルハザードにある。モラルを売ると金になる構造に加担してはいけない。 話題のソースコード流出事件、報道にちょっと疑問 筆者は普段、深圳の開発ボードスタートアップ界隈(かいわい)にいて、それに関連する記事を書いている。今回は日本の話だが、編集部からリクエストがあり、かつ筆者自身も書きたいと思った。著名な企業・組織のシステムのソースコードが、共同開発サービスのGitHubにアップされた件である。 「Twitter」などでの情報を見る限り、かつて多重下請けでプログラムを書いていたエンジニアが、手元のソースをうっかり共同開発サービスのGitHub上に、誰でもソースを見ることができる設定で公開してしまったらしい。三井住友銀行など大企業のものとみられるソ
1956年の調査開始以来、初のマイナス──。日本を代表する企業、トヨタ自動車が本社を構える愛知県で、2020年10月1日時点の人口が前年比で1万2000人近く減った。県内では豊田市の減少人数が最も大きく、コロナ禍で製造業を支える外国人労働者の転入が減った。解雇などの憂き目に遭い、愛知を去った人もいる。 人口減や高齢化にコロナ禍という経済危機が加わると、あっという間に追い風は逆風へと変わる。私たちがいかにもろく、不安定な土俵の上に日々立っているかが分かる。 「派手な改革などいらない」 今連載「地方が壊れていく」を通じ、幾重にも重なった「想定外の危機」に直面し、立ちすくむ地方各地の姿を見てきた。だが決して万策尽きたわけではないし、誰も住まない、何も生み出さない街が相次ぐことを喜ぶ人などいないはずだ。政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏は「建物をたてることばかり追い、喜ぶ。そんな政策からの転換
旭が丘団地は日本住宅公団(現UR都市機構)が建設し、1967年から入居が始まった大型郊外団地だ。東西800m以上にわたり40以上の棟が並ぶ高度経済成長期の団地の典型で、カンヌ国際映画祭に出品された是枝裕和監督の映画「海よりもまだ深く」の舞台になったことでも知られる。 そんな旭が丘団地にC氏が入居したのは約45年前。「当時はみんな子育て世帯で、それはもうにぎやかだった」。しかし今、その面影はない。 取材班が現地を訪れたのは、8月も終わりを迎える日曜の午後。高齢化でいわゆる「昭和の郊外団地」が活気を失いつつあることは、かねて認識していたが、いざ足を運ぶと、団地全体がまるで眠っているかのような静けさだ。コロナ禍の影響もあるにせよ、人影は全くなく、セミの声だけが異常に響く。そんなとき、団地内の小さな広場に体を動かしに姿を見せたのがC氏だった。 団地の部屋からも出ない 団地の光景を一変させた原因は、
安倍晋三首相が8月28日、辞任する意向を表明した。7年8カ月に及ぶ歴代最長政権を可能にした要因として、内閣人事局の創設など官邸の権限強化は大きい。一方で、政権の後半には、霞が関の人事権を掌握した副作用も目立った。学校法人森友学園(大阪市)を巡る財務省の公文書改ざん問題をはじめ、霞が関には官邸に対する忖度(そんたく)がまん延するように。自治省(現総務省)出身で、後に総務相も務めた早稲田大学公共経営大学院教授の片山善博氏に、安倍政権下での官邸と霞が関の力関係の変化や、次期政権の課題について聞いた。 片山善博(かたやま・よしひろ)氏 1951年岡山市生まれ。74年東京大学法学部卒業、自治省(現総務省)に入省。自治大臣秘書官、固定資産税課長などを経て、99年鳥取県知事(2期)。2007年4月慶應義塾大学教授。10年9月から11年9月まで総務相。同月慶應義塾大学に復職。17年4月から現職。 『民主主
「桜を見る会」の名簿データが消去された話を聞いて、私は、一も二もなく 「データの一滴は血の一滴」 という言葉を思い浮かべた。 で、早速そのフレーズをタイプした勢いで原稿を書き始めた次第なのだが、冒頭の10ラインほどに到達したところで、 「ん? なんだかこのテキストは、むかし書いたおぼえがあるぞ」 ということに思い当たった。 原稿執筆中にデジャブに襲われるのは、実のところ、そんなに珍しいなりゆきではない。 たとえば、武者小路実篤先生の晩年の作品には、同じフレーズや描写が、かなりの頻度で登場する。 武者小路先生ご自身が、自分でわかっていて自己模倣をやらかしていたのか、それとも無意識のうちに同じ文章を繰り返し書く症状を獲得するに至っていたのかは、いまとなっては誰にもわからない。 ともあれ、ある程度年齢の行った書き手は、いつしか、昔書いたのと同じ文章を書いている自分自身に遭遇することになっている。
今回は、「桜を見る会」の話をするつもりでいる。 このあまりにもベタで生煮えな話題を、あえていま騒動の渦中にあるタイミングでまな板に載せることにした理由は、私自身が「桜を見る会」まわりの問題を重視しているからというよりは、いまのうちに取り上げておかないと、来週の今頃にはすっかり風化しているだろうと考えたからだ。 桜は満開から3日後には早くも散り始める。この種の話題は、風化が早い。 そう判断したからこそ、官邸は中止の決断を急いだのだろう。 「なあに、さっさとテントを畳んで撤収すれば、じきにいつまでも跡地で騒いでいる連中の方が間抜けに見えるようになる」 という判断だ。 そして、その彼らの判断は、おそらく間違っていない。 メディアは3日で飽きるだろうし、野党が粘ったところで国民の関心はどうせ1週間ももたない。われわれは匙を投げるだろう。 「やめるって言ってるんだからもういいじゃないか」 と、そうい
地政学リスク分析で知られる畏友イアン・ブレマーが、4月末に米国で新著を出版した。6月中旬には日本でも翻訳版が出版されることとなり、その日本語版解説を頼まれたので、一生懸命原著を読んでいる。 タイトルは、“US vs THEM“。日本語にすると「私たち 対 彼ら」あるいは「俺たち 対 あいつら」という感じだろうか。自分の属するグループとそれ以外を峻別し、対立構造を作り上げることを言う。 イアンは、『自由市場の終焉:国家資本主義とどう闘うか』(2011年、日本経済新聞出版社)で、中国・ロシアを中心とする国家資本主義の台頭を指摘。続けて、『「Gゼロ」後の世界:主導国なき時代の勝者はだれか』(2012年、日本経済新聞出版社)では、経済的には米中二極体制となる世界で、どちらも世界秩序の維持に汗をかかなくなるという「G2」ならぬ「Gゼロ」という不安定な時代の到来を予測していた。どちらのテーマについても
『母さん、ごめん。』の著者、松浦晋也さんと、NPO法人「となりのかいご」の代表理事、川内潤さんが、松浦さんがお母さんを介護した現場である、ご自宅で「会社員の息子が母親を介護する」ことについて、語り合います。自分の親が心配な担当編集者のYも絡みます。 川内:これも松浦さんの連載と本で、何度も強調されていることですが、目の前で母親に起きていることの原因が、認知症とか介護とかいう状況だ、と認識するというのがまず難しい。ただの年相応の物忘れと思うし、思いたいわけですよ。不可逆的なあの病気、というふうに考えたくないじゃないですか。 Y:まして男子の場合は、それの意味するところは「永遠の安全地帯が崩壊しつつある」ことですからね(※第3回「男性必読!貴兄が母親に辛く当たってしまう理由」参照)。 松浦:思いたくないですね。僕も「母がどうもおかしい」と7月の頭に気がついて、「これは介護が必要そうじゃないか」
成約済みや架空の賃貸物件を掲載し、顧客を店舗に呼び込む「おとり物件」商法。不動産テック会社イタンジの調査で、割安な人気物件の半分におとりの疑いがあることが分かった。イメージ悪化を危惧する不動産情報サイトが対策の強化に踏み切ったが、実効性には疑問が残る。 (日経ビジネス2016年12月12日号より転載) 不動産情報サイトに掲載されていた賃貸物件を気に入った30代女性が仲介会社に電話をかけた。担当者は「この物件は昨日申し込みが入ってしまいました」と回答。女性は諦め、他のサイトを眺めていたところ、別の仲介会社が同じ物件を掲載しているのを発見した。しかも情報更新日が「本日」になっている。不思議に思い、電話で問い合わせてみると、「内見できますよ。お店に来てください」。女性が「別の会社から申し込みがあったと言われた」と告げると、担当者は慌てた様子で電話を切り、数分後に再び連絡があった。 「連絡の行き違
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