本稿は、広島県発行の広報誌『統計の泉』(広島県統計協会)平成11年6月号(通巻587号)のために書いた原稿をアップしたものです。 「広島大学総合科学部助教授」という肩書きも、平成11年=1999年当時のものです。 その後、本稿の記述を加筆し、 拙著『貝と羊の中国人』 (新潮新書 2006年刊) 第4章 「人口から見た中国史」 として発表しました。 中国人は古くから人口についての記録を残してきた。人口の増減は政府の租税収入に直結し、また、人口の増減が政治の良否の指標であると考えられてきたからである。 歴史的に見ると、中国の人口は、常に世界最大級の規模を維持し、周辺世界との人口の流出・流入の比率が少なく、また人口増加と人口崩壊が周期的におとずれた、など興味深い特徴が見られる。 ちなみに現在われわれが「中国」と呼ぶ地域は、ほとんどが中華人民共和国の領土と重なる。しかし歴史的に見れば、中国という語