今日のNHKクローズアップ現代は「富士山をどう動かしますか? ~ “地頭力”(じあたまりょく) の時代~」。就活中の学生(特に理系)が誤解しないように書いておくと,ゴジラを呼んできて動かしてもらうといった「ユニークな」答えを求められているのではなく,理系の思考ができるかどうかを問われているのである。画期的な移動方法を提案できればもちろん素晴らしいが,そうでなくても,従来の方法で富士山を移動するコストをちゃんと見積もれれば十分である。物理では昔からback-of-the-envelope calculation(封筒の裏に書けるほどの計算)といって,本質を突いた近似と簡単な計算で概略の答えを素早く見つける能力が評価されてきた。例えば日本で年間に売れる鍋の個数を聞かれたら,平均的な家庭の鍋の個数と鍋のMTBFを見積もって評価するのが一つの方法であろう。テレビでやっていた「男性なら一生に5個の鍋