ミステリのトリックの中で、まだ手垢のついていない、前人未到の領域がある。あるいは、いまだ未完成の部分がある。 それは、読者が犯人というトリックである。これまでそのトリックに着目し、挑戦する作品はあったものの、 ○○といえば、この作品であるといえるほど、このトリックの代名詞という程のものはないと思う。このトリックに焦点をあてた作品を最近読んで、色々考えさせられたので、 読者が犯人というトリックについて書いていこうと思う。 過去の読者が犯人というトリック ネタバレになるので作品名等は避ける。私が知っている構造は以下のものがある。 ・読者が犯人ではなく、犯人を読者にする。 小説(物語)の読み手としてのわれわれ読者ではなく、作中のメモ、手紙、遺書等を最初に読むことになる人物(文章の読み手という意味の読者)が犯人であるという構造。 一般的に思い描く読者が犯人というトリックへの期待に対して、斜め上の解