非実在存在による祟りと法的リスク 小松左京の『日本の呪い―「闇の心性」が生み出す文化とは (カッパ・サイエンス)』によれば、物部村の祈祷師が災厄や病気(障り)の原因宣告には大きくわけて「祟り」と「呪い」があるという。「祟り」は神仏や精霊のタブーを破ったことによる神秘的制裁であり、「呪い」は特定個人の生み出す怨念による影響とする。 主体人格の存在しない「祟り」であればお祓いで済むが、実行主体が存在する「呪い」に対しては呪詛返しなどの「報復」がセットとなる。それでなくても、「その病気は○○さんの呪いが原因」と言われれば、その真偽はさておき私刑に駆り立てられてもおかしくはないし、祈祷師自体が名誉毀損や人権侵害で訴えられる可能性がある。これを回避するために近年では「祟り」と宣告したり、「呪い」であって特定個人を明示しないようになっているそうだ。 非実在存在を原因に挙げることで法的リスクを回避するの