死にかけていたやつが死んだ。これはそれだけの話だ。 受け止めきれていない現実の話をするには、好きな映画をつまらなそうに紹介するような口ぶりが要求されるのかもしれない。そんなしょうもないことを思わずにはいられないくらいには、自分の中でもまだ気持ちの整理がついていない。だからこそ、やつの生への実感の生暖かさが抜けきらないうちに、書いておかなくてはいけないと思った。 ふざけたやつだった。ふざけてないと死ぬ病気か何かだと思っていたが、これはあながち間違いではないだろうと思う。気力が許す限りふざけ倒す姿が目に浮かぶ。きっと今頃もあの世で「オラは死んじまっただ〜」なんて歌いながら、へらへら笑っているだろうと思うが、これは単なる願望だ。 そもそも、人が死んだからって情緒が不安定になって、こんな長文を垂れ流していることが滑稽である。が、んなこと知るか。俺は俺のやりたいようにやる。 三月の末頃だったと思う。