アロマティカスと、カランコエの株を買った。 昔は、土いじりなんて嫌いだった。家に花を飾ったり、草を育てたりする人の気が知れなかった。喋りもしなければ寄り添ってくれもしないし食えもしない、そんな植物に愛を注いで何になるのだと思っていた。花は造花が好きだった。鉢植えよりも切り花が好きだった。もし枯れたとしても、切り花だったら、枯れて当然で私に何の責任もないから。 今は、造花よりも切り花が、切り花よりも鉢植えの花が好きだ。鉢植えに咲いた花を切り花にして、飾るのが好きだ。植物の力を借りて、何かを成し遂げたような思いを味わえるから。何も成し遂げていなくても。 カランコエは、以前の家で、投げ売りになっていた赤い花を咲かせる株を買って育てたことがあった。 好きな花びらの形ではなかった。好きな色でもなかった。ただ、何か花を育ててみたいと思っている時に投げ売られていた。一年草は何だか寂しいので、多年草か宿根