2007年8月に生まれた初音ミクは、ニコニコ動画というプラットフォームにのって爆発的に普及したキャラクターである。だがおよそ他一般の「キャラクター」と一緒にしてしまってよいのかという呵責もある。なぜなら初音ミクの楽曲も、初音ミクのイラストも何万・何十万と存在するからだ。そしてまた初音ミクを通じて育ったボカロPは米津玄師からまふまふ、YOASOBIに至るまで現在の音楽業界を牽引する一大勢力になっている。この初音ミク15年を改めて振り返ることで、ボカロという“異質な"キャラクタービジネスについて考えてみたい。今回は北海道・札幌を拠点とするクリプトン・フューチャー・メディア社に話を伺った。 ※「VOCALOID(ボーカロイド)」および「ボカロ」はヤマハ株式会社の登録商標となっている ――:自己紹介からお願いいたします。 伊藤博之と申します。1995年にクリプトン・フューチャー・メディア(以後CF