徳間書店 2000年6月 小室直樹氏は“文明開化の人”だと思う。変な言いかたかもしれないが、学問の神髄は西洋にあるので、学問を志すものは徹底的に西洋に、それも一流の西洋に学ばなくてはいけないとする人とでもいうような意味である。 だから経済学でいえば、ケインズやサミュエルソン、社会学でいえばマックス・ヴェーバー、デュルケイム、パーソンズといった人々を徹底的に学んで自家薬籠中のものとするという方向である。小室氏の本でケインズやヴェーバーの説について批判的に言及されているのを見たことがない。 本書はキリスト教、仏教、イスラム教、儒教をとりあげた宗教原論であるが、それが依拠しているのはヴェーバーの宗教社会学なのではないかと思う(わたくしは「プロテスタンティズムの倫理・・」以外の本を読んでいないので判断する資格はないが)。橋本治氏の「宗教なんかこわくない!」を読んでいて本書を思い出した。以前に買って