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能力と池田信夫に関するcastleのブックマーク (62)

  • 「社会工学」の幻想 : 池田信夫 blog

    2009年11月05日11:02 カテゴリ経済 「社会工学」の幻想 先日の左翼の堕落についての記事には(予想どおり)反発が多かったようだが、バランスをとるために右派の堕落についても書いておこう。といっても70代以上の老人を読者層とする右派論壇の没落のことではなく、社会工学という形で性懲りもなく繰り返されるパターナリズムのことだ。 その典型が、今は亡きリフレ派だろう。さすがにもう「日銀が4%のインフレを15年間続けると宣言しろ」というクルーグマンのご託宣を復唱する向きはいなくなったが、それを喧伝した翻訳家も『訳者解説』なる駄からこっそりクルーグマンの解説を抜いただけで、反省の弁は聞かれない。かつて構造改革を罵倒した学説史家に至っては、苦しまぎれに「所得政策」を主張するありさまだ。 彼らの間違いは、意外に根が深い。それはオーギュスト・コントやベンサム以来の「社会は人工的に管理できる」という操

    「社会工学」の幻想 : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2009/11/06
    「(彼らの間違いは)「社会は人工的に管理できる」という操作主義にもとづいているから」「社会工学が失敗する原因は、ポパーが信じたように漸進的に近づいてゆく客観的真理などというものは存在しないからだ」
  • ケインズとラムゼー* : 池田信夫 blog

    2009年11月03日23:33 カテゴリ経済テクニカル ケインズとラムゼー* ケインズが1921年に書いた『確率論』は最近、行動経済学の先駆としてあらためて注目されている(*テクニカル)。 このでケインズは、サイコロの目のような客観的確率をモデルとする古典的な確率論に対して、直観によって決まる確率関係にもとづく確率論を構築し、社会科学の基礎にしようとした。この確率関係は知覚される命題と命題の論理的関係だが、主観的ではなく客観的な概念である。確率関係によって決まる結果は客観的に検証可能だが、その基礎となる直観は検証も反証もできない。この確率関係は意思決定の基礎となるもので、その選好の大小や無差別性によって人々の行動が決まる。 ・・・と要約すると明らかなように、ここでは確率関係という無定義語が主観的でもなく客観的でもない奇妙な概念として使われている。この点を批判したのが、ラムゼーの「真理と

    ケインズとラムゼー* : 池田信夫 blog
    castle
    castle 2009/11/05
    「ラムゼーは、すべての人々が完璧な最適化計算を行なうと考えることは、問題を単純化する方便にすぎないと考えていた」「経済学を「一方では形式論理学から、他方では記述的心理学から区別」する理論を構築する」
  • ソニーよ”普通の会社”にまで堕ちてどうする! - 池田信夫 blog

    ソニーの元幹部が書いたとされる怪文書がネット上を回遊して、話題になっている。私のところにも全文が手に入った。これは「M元副社長がK誌に書いた原稿を広報が止めた」ということになっているが、ソニーの広報はその事実を否定している。真偽のほどは定かではないが、内容は怪文書とは思えないしっかりしたものなので、一部を引用しておこう。かつてないほどの業績悪化から立ち直るためにストリンガー会長兼社長に権限を集中して迅速な経営が可能な体制とした。 ソニーはこういっているのですが、かつて同社に在職してウォークマン始め各種製品の開発に関わり、さらには副社長まで務めさせてもらった私としては納得がいかないことばかりなのです。 まず最初の疑問は、なんといっても「なぜストリンガー会長・社長なのか?」です。 日の企業だから外人トップは不要だといった偏狭な発想ではありません。 ストリンガー氏は、米国の放送局CBSに30

    castle
    castle 2009/10/18
    「出井体制下で行われた早期退職制度によってテレビ技術者などが相次いで退社し、韓国のサムスンに大量入社」「製品開発には成功か失敗かしかなく、我々の時代は成功を確信して技術を磨いた」「結局、企業は人事」
  • http://twitter.com/ikedanob/status/4722099659

    http://twitter.com/ikedanob/status/4722099659
    castle
    castle 2009/10/11
    「任天堂ってすごいエリートの集まっている会社と思われているかもしれないけど、いわゆる一流大学の人はほとんどいない。ゲームにはまって中退した「落ちこぼれ」も多い」「大学教育からは(人材は)出てこない」
  • 技術への問い - 池田信夫 blog

    書は、ハイデガー晩年のもっとも重要な論文「技術への問い」を中心にして5の論文を集めたものである(復刊)。最初に断っておかなければならないのは、訳があまりにもひどく、とても通読できないということだ。たとえば有名な、技術をGe-stellという奇妙な言葉で表現する部分は、書ではこう訳されている:われわれはいま、それ自体を開蔵するものを用象として用立てるように人間を収拾するあの挑発しつつ呼びかけ、要求するものをこう名づける――集‐立(Ge-stell)と。この文を理解できる人は、まずいないだろう(訳者が理解しているかどうかも疑問だ)。私は原文を読んではいないが、英訳のほうがはるかにわかりやすい。英訳ではGe-stellはenframingと訳されており、自然を一定の枠組の中で理解し、利用することだ。 この論文が重要なのは、若きハイデガーが『存在と時間』で提起した形而上学批判という問題に、

    castle
    castle 2009/09/24
    「技術が対立するのは科学ではなく、自然がおのずから立ち現れてくるポイエーシス(生成」「近代科学の方法論は自然を受動的に見るのではなく、実験や工学的応用によって自然を「挑発」して真理を開示するテクネー」
  • つきはぎだらけの脳と心 - 池田信夫 blog

    脳が驚異的に複雑で巧妙にできていることは誰でも知っているが、それは脳の性能が高いことを必ずしも意味しない。むしろ脳は進化の過程で行き当たりばったりに複雑化し、古い脳の上に新しい脳がつぎ足されているため、機能が重複して効率が悪いというのが書のテーマだ。進化の初期の段階でつくられたまま、ほとんど使われていない古い機能も常に「オン」になっているので、わずか1.3kgの器官を維持するために人間の摂取するエネルギーの2割が使われている。素子(ニューロン)の性能は半導体の数万分の一以下しかなく、処理速度も正確さもはるかに劣る。 その代わり脳は、100億のニューロンと500兆のシナプスからなる恐るべき超並列コンピュータで、この並列処理によって素子の低性能を補っている。たとえば眼球の機能は不完全なので、情報の入力は不安定だ。次の図はサッカード(視点運動)とよばれる現象の実験で、左側の写真を4分間見ると

    castle
    castle 2009/09/22
    「(脳が複雑で巧妙にできていることは)脳の性能が高いことを必ずしも意味しない。むしろ脳は進化の過程で行き当たりばったりに複雑化し、古い脳の上に新しい脳がつぎ足されているため、機能が重複して効率が悪い」
  • ソニーVSサムスン - 池田信夫 blog

    ソニーは日のグローバル企業の代表だが、最近はグローバル化の失敗例として引き合いに出されるほうが多い。他方、ソニーに代わってアジアの電機メーカーの雄になったのはサムスン電子だ。書は両社を比較し、その失敗と成功の要因を分析したものだ。 ソニーの最大の失敗は、大賀典雄社長の後継者に出井伸之氏を選んだことである。彼は大賀氏が「消去法で選んだ」と口をすべらしたように、取締役の中でも末席で、ソニー流の技術系でもなく、とりたてて実績があったわけでもなかった。創業者のようなカリスマ性がない点を補うため、彼はカンパニー制にして各部門の独立性を高め、委員会設置会社にして取締役会が"active investor"として巨大化した組織を統治しようとした。 結果的には、これが失敗の原因だった。各期のボトムラインだけを見て資産を組み替える持株会社のような分権型システムは、企業が成熟して開発投資が少なく、オ

    castle
    castle 2009/09/14
    「(ソニーは)技術的にアップルより先行していた音楽配信システムで失敗した。要素技術は別々のカンパニーがもっていたが、それを統括するリーダーが不在だった」「補完性の強いビジネスでは、集権的なほうがいい」
  • 霞ヶ関維新 - 池田信夫 blog

    民主党政権の最大の課題は、官僚機構との闘いである。さっそく概算要求をめぐって財務省との鞘当てが始まっているが、こういうとき厄介なのは、官僚機構の匿名性だ。誰も個人として責任をとらないで結束して組織防衛に全力を傾け、面従腹背で「よそもの」である政治家を情報的に孤立させてコントロールするのが彼らの常套手段である。この点、書の著者である若手官僚は、実名で改革を提言している。霞ヶ関も、少しは変わりつつあるようだ。 しかしその改革の内容は、残念ながらよくも悪くも官僚的だ。最初に日の「国力低下」を指摘して、それを建て直す「国家戦略」の必要を説き、その戦略を実現する官邸中心の「組織再編」を提言する構成は、審議会に提出される「事務方」の資料とよく似ている。15人の著者の共著であるため、一通り問題点は整理されているがメリハリがなく、としてはつまらない(所属官庁への遠慮もあるのだろうが)。 最大の問

    castle
    castle 2009/09/04
    「(日本のような行政中心の統治システムは)経済が成熟して資源を最適配分することが重要になると、うまく機能しなくなる。効率を上げるにはシステムを分権化する必要があるが、官僚機構が権限を離さないからだ」
  • 霞ヶ関というITゼネコン - 池田信夫 blog

    民主党の圧勝は、予想以上に大きな変化をもたらすかもしれない。ここまで大差になれば、参議院のねじれも自民党からの鞍替えや公明党の「中立化」によって解決でき、実質的に民主党単独政権になる可能性がある。そうなれば、小沢一郎氏の悲願だった「強い与党」として、思い切った改革もできよう。特に重要なのは、民主党がマニフェストにかかげた「官僚主導の政治の打破」である。 その試金石は、すぐやってくる。来年度予算の編成だ。例年なら、きょう概算要求が出そろって省庁間の話し合いも7割ぐらいついているが、今年は民主党が「国家戦略局」によってゼロベースで見直すとしているので、各省庁とも骨格しか出していない。新組織は「戦略室」として発足を急ぐそうだが、スタッフの人事が完了するには、どう急いでも1ヶ月はかかる。正味3ヶ月で一般会計+特別会計の200兆円をゼロから見直すのは、現実には無理だろう。細川政権のときも、政権が成

    castle
    castle 2009/09/02
    「英米型のシステムでは議員の政策を議会事務局が法案化するが、日本では法案化が官僚機構に丸投げされている」「設計段階から丸投げされたら、自社のシステムでないと動かないように設計するのは当たり前だ」
  • またしても池田信夫氏の捏造 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    こういう指摘をすると、池田信夫氏がどういう反応をするかはいままでの経験から重々判っています。中身には一切言及せず、もっぱらわたしが労働省なる三流官庁の役人上がりの分際で、修士号もないくせに大学院で教えているとは笑止千万、俺様は博士(政策・メディア)だぞ・・・という悪罵がイナゴの大群とともに怒濤のごとくやってくるのは目に見えています。 とはいえ、これはいかにも捏造というべきでしょう。 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/8c0f4f37800d4ba31f00651ee1d40693 >鳩山由紀夫氏によれば、「市場原理主義」が文化や伝統を破壊して、信頼にもとづく社会の秩序を危うくしているそうだが、それは当だろうか。Francois et al.によれば、規制改革によって労働市場が競争的になると、労働者の信頼は高まるという。 そのフランソワさんたちが実際にど

    またしても池田信夫氏の捏造 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    castle
    castle 2009/08/31
    「企業間競争が人々を集団の利益のために行動するように鍛えるからだろう、と推測しています」「フランソワさんたちは「労働市場が競争的になると、労働者の信頼が高まる」などと言うことは一言も言っていません」
  • 教育改革はなぜ失敗するのか - 池田信夫 blog

    のサービス産業の効率が低いことは周知の事実だが、教育サービス(特に高等教育)はその中でも最低の部類だろう。私立大学の過半数が定員割れで、中国人留学生で定員を埋めている状態だ。一時、文科省が「大学院重点化」によって乱造した大学院大学も、ほとんどが定員割れで「学歴ロンダリング」の温床になっている。 こういう現状に対して何度も改革が試みられたが、状況は改善されていない。その根的な原因は、企業システムにある。拙著(第5章)でも書いたように、日の企業のガバナンスは資主義の原則である所有権(ownership)による支配ではなく、長期的関係にもとづいた会員権(membership)による支配だから、大事なのは組織に忠実で協調性の高いことで、専門的技能は必要ないのだ。 前にも書いたように、日の大学はシグナリングの装置だから、その役割は入試のとき終わっている。重要なのは「東大卒」の学歴では

    castle
    castle 2009/08/18
    「仕事は徒弟修行によってOJTで覚える」「(学歴は)どんなつまらない仕事も我慢し、上司の求める答を出す忠実な社員になるというシグナル。だから企業システムを変えないで、教育システムを変えることはできない」
  • 汚穢と禁忌 - 池田信夫 blog

    ウンベルト・エーコによれば、文化は「危機に直面する技術」だという。記号論が示すように、文化の基は一定のシンボル体系の中に情報を秩序づけて共有することだが、こうしたフレームが制度化されると源的なリアリティとの間に齟齬が生まれる。それが非常に大きくなるとコミュニティの存続が脅かされるので、そのリスクを認識させるのが「反秩序」としての文化である。 こういう話は一時、「トリックスター」論として流行したが、その走りが書(原著は1966年)である。著者は、それまで文化人類学の研究対象とされなかった不浄なものが、文化の中で重要な役割を果たしていることを明らかにした。汚物についての禁忌(タブー)は、どの文化圏でもきわめて強いが、その対象は両義的な意味をもつことがしばしばあり、聖なるシンボルとして儀礼で重要な役割を果たす。 たとえば葬儀に糞尿を使う慣習は「未開社会」に広く見られる。死体に尿をかけて

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    castle 2009/08/18
    「文化の基本は一定のシンボル体系の中に情報を秩序づけて共有することだが、こうしたフレームが制度化されると本源的なリアリティとの間に齟齬が生まれる。それが非常に大きくなるとコミュニティの存続が脅かされ」
  • 心をつくる - 池田信夫 blog

    経済学の依拠している功利主義は、独立した<私>がある財から得る<効用>を最大化すると想定しているが、このような素朴唯物論は心理学でも脳科学でも否定されている。書もいうように、そもそも私という存在が無数のニューロンの刺激を合成した錯覚であり、それが外部の物体を直接に知覚することもありえない。脳はまず外界のモデルをつくり、その予測を経験によって修正しながら知覚するのだ。 こうした知覚が意味として成立するには、他人との相互作用によってモデルを共有する必要があり、認識は源的に相互主観的だ――こうした認識論は100年前にフッサールが内省によって導いたものだが、最近の脳科学はそれを裏づけている。フッサールが地平と呼んだものが、脳内のモデルに対応している。こうした相互主観的な認識の成立する過程では、他人の気持ちを感じるミラーニューロンが重要な役割を果たす。 もう一つ重要な発見は、こうした知覚が身

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    castle 2009/08/17
    「意味が形成される過程も、コミュニケーションの中で個人のモデルの類似点や相違点を見つけながら、再帰的にモデルを修正する言語ゲームによって行なわれる」「米欄:脳は主ではなく、皮膚感覚等に引きづられた従」
  • 平和ボケという伝統 - 池田信夫

    党首討論は、麻生氏の迫力勝ちでしたね。野党になったら、かなりいい「斬り込み隊長」になるのではないでしょうか。経済政策がだめなのはどっちもどっちですが、外交・軍事では民主党の政策は支離滅裂です。これは社民党との選挙協力という制約もあるのでしょうが、党内にも社民党の残党が多いので、政権を取ったら迷走しそうです。こういう「平和ボケ」が戦後60年以上も続くのは、日教組の教育とか「反日マスコミ」のせいばかりではなく、日が世界にもまれな平和な国だったためだと思います。 世界の文明国で、歴史上一度も外国に征服されなかった国というのは、他にありません。梅棹忠夫氏もいうように、このような侵略にそなえる中央集権国家が発達しなかったため、コミュニティの自律性が高く、社会的規範が安定していたことが、日が非西欧圏で唯一、自力で近代化できた原因でしょう。もちろん戦国時代のような内戦はありましたが、これは武士どうし

    平和ボケという伝統 - 池田信夫
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    castle 2009/08/14
    「全体最適を考える「システム思考」が欠落しているために、ゼロ戦や戦艦大和のような部分最適にはまり込み、兵士は優秀なのに戦争にはぼろ負け」「撤退の戦略を知らない」「経営者も役所も要素技術しか評価しない」
  • マクロ経済学の「暗黒卿」、反論する - 池田信夫 blog

    Economist誌に「マクロ経済学の暗黒時代」を作り出した元凶と名指しされたロバート・ルーカスが、これに反論しているが、今ひとつ切れがよくない。効率的市場仮説については、こう弁護する:Over the years exceptions [of the EMH] and “anomalies” have been discovered (even tiny departures are interesting if you are managing enough money) but for the purposes of macroeconomic analysis and forecasting these departures are too small to matter. The main lesson we should take away from the EMH for p

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    castle 2009/08/07
    「危機が起こらないという前提でシミュレーションをやったら、起こらないという結論が出るのは当たり前」「危機のとき役に立たない理論というのは無価値」「重要なのは経済学界を維持する力でなく事実を説明する力」
  • 日本語は論理的である - 池田信夫 blog

    学校文法では、「文は主語と述語によって成り立つ」と教わる・・・という文には主語がない。こういう場合、学校では「生徒は」という主語が「省略されている」と教わるが、この基準で日語の日常会話を分析すると、90%以上の文で主語は「省略」されている。世界の他の言語をみても同じで、主語が不可欠なのはインド=ヨーロッパ語族の一部に限られる。主語・述語モデルにもとづく生成文法も、「普遍文法」どころか「ヨーロッパ語文法」でしかない。 こうした英語をモデルとする文法に対する批判も古くからあり、時枝文法や三上章など、「日語の論理は英語とは違う」とする議論も多い。書は、学校文法や生成文法を否定する点ではこうした理論と同じだが、「日語特殊論」も批判し、日語も英語も基的には同じ論理の変種だと論じる。著者の理論的根拠とする認知言語学は第2章に要約されているが、くわしいことは著者の前著を読んだほうがいいだろ

    castle
    castle 2009/08/04
    「認知言語学では、統語論を否定し、文をメタファーの関係としてとらえる~外的な世界を概念化する過程であり、文法はその概念=メタファーの関係をあらわす形式」「論理的関係は集合の包含関係に置き換えられる」
  • 社畜はいかにして生まれたか - 池田信夫 blog

    雇用問題を冷静に考える最大の障害になっているのは「労働者は資家に搾取される弱者で、政府が救済しなければならない」という通念だ。社会主義が崩壊した後も、この固定観念は多くの人々に共有されているが、クラークはこれを経済史の計量的な研究によって否定している。 そもそもプロレタリアートがそれほど悲惨な存在なら、なぜ産業革命の時期に農業を捨てて工場労働者になる人が急増したのだろうか。答は簡単である。プロレタリアートのほうがはるかに所得が高かったからだ。クラークのデータによれば、産業革命後のイギリスで急速な成長による収益のほとんどは、単純労働者に分配された。この理由も簡単だ。労働市場の競争が激しく、労働生産性の上昇に応じて賃金が上がったからだ。限界生産力説の教えるように、労働市場が競争的であれば賃金は労働の限界生産力に等しくなるのだ。 日でも、終身雇用が理想で戦前の労働者はすべてかわいそうな「

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    castle 2009/07/24
    「(大正期では)企業との契約は親方が入札で決め、労働者は自由な職人として高賃金を求めて親方を選び、職場を渡り歩いた」「奴隷は彼らの鎖の中ですべてを失ってしまう。そこからのがれたいという欲望までも」
  • Moral Sentiments And Material Interests - 池田信夫 blog

    エゴイズムを正面きって肯定し、個々人が欲望を最大化する結果が「見えざる手」によって最適の結果をもたらす、というのがアダム・スミス以来の経済学のセントラル・ドグマだ。しかしスミスには、もう一つの(ほとんど読まれない)『道徳感情論』というがある。ここで彼は、他者への「共感」がなければ社会秩序は維持できないとした。 経済学は後者の議論を無視し、利己的な動機だけで秩序(均衡)が成立することを数学的に証明しようとしたが、一般均衡理論はかえって現実的な条件では均衡は存在しえないことを証明してしまった。超合理的な「代表的個人」を想定する合理的期待仮説も、実証的に棄却される。経済学者の多くも、合理主義的な経済学に未来はないと思いながらも、学生にはそれを教えている。系統的な理論は今のところそれしかない、というのが彼らの言い訳だ。 しかし最近では、行動経済学や実験経済学の結果を理論的に説明しようという試

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    castle 2009/07/20
    「個々人が欲望を最大化する結果が「見えざる手」によって最適の結果をもたらす、が経済学のセントラル・ドグマ。~しかし、(スミスは『道徳感情論』で)他者への「共感」がなければ社会秩序は維持できないとした」
  • 認知論的転回 - 池田信夫 blog

    20世紀初頭にソシュールによって始まった哲学の革命を「言語論的転回」と呼んだのはローティだが、『認知文法のエッセンス』は、いま人文科学で認知論的転回が起こっているという。それはチョムスキーに代表される分節言語をモデルとする形式主義を否定し、言語が非言語的な生活の中から生成するプロセスをとらえようとする方法論だ。 その元祖レイコフの理論のコアにあるのは、メタファーの概念である。彼は、言語や知性は先天的に与えられたものではなく、特定の文化圏の中で形成されたフレームに依存するものだと主張する。たとえばブッシュ政権の"tax relief"という政策には「納税者を救済する」というフレームが暗黙のうちに含まれている。この"relief"というフレームの中で論争したことが民主党の敗因だった。 "The Stuff of Thought"は、このテーマを心理学の立場から論じ、言語をフレームの概念で理

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    castle 2009/07/14
    「言語が非言語的な生活の中から生成するプロセスをとらえようとする方法論」「メタファーの概念:言語や知性は先天的に与えられたものではなく、特定の文化圏の中で形成されたフレームに依存するものだと主張する」
  • 第5世代コンピュータ - 池田信夫 blog

    渕一博氏が死去した。彼は、1980年代の国策プロジェクト「第5世代コンピュータ」を進める新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)の研究所長だった。私もICOTは何回か取材したが、発足(1982)のころは全世界の注目を浴び、始まる前から日米でが出て、欧米でも似たような人工知能(AI)を開発する国策プロジェクトが発足した。ところが、中間発表(1984)のころは「期待はずれ」という印象が強く、最終発表(1992)のころはニュースにもならなかった。 1970年代に、通産省(当時)主導で行われた「超LSI技術研究組合」が成功を収め、日の半導体産業は世界のトップに躍り出た。その次のテーマになったのが、コンピュータだった。当時はIBMのメインフレームの全盛期で、その次世代のコンピュータは、AIやスーパーコンピュータだと考えられていた。通産省の委員会では、国産のAI開発をめざす方針が決まり、第5世

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    castle 2009/07/06
    「日本語で命じると動くコンピュータを目的にし、推論エンジンと知識ベースの構築が行われた」「例外処理が膨大になり、行き詰まった」「自然言語の本質はプログラミング言語のような演繹的な情報処理ではなく」