2009年11月05日11:02 カテゴリ経済 「社会工学」の幻想 先日の左翼の堕落についての記事には(予想どおり)反発が多かったようだが、バランスをとるために右派の堕落についても書いておこう。といっても70代以上の老人を読者層とする右派論壇の没落のことではなく、社会工学という形で性懲りもなく繰り返されるパターナリズムのことだ。 その典型が、今は亡きリフレ派だろう。さすがにもう「日銀が4%のインフレを15年間続けると宣言しろ」というクルーグマンのご託宣を復唱する向きはいなくなったが、それを喧伝した翻訳家も『訳者解説』なる駄本からこっそりクルーグマンの解説を抜いただけで、反省の弁は聞かれない。かつて構造改革を罵倒した学説史家に至っては、苦しまぎれに「所得政策」を主張するありさまだ。 彼らの間違いは、意外に根が深い。それはオーギュスト・コントやベンサム以来の「社会は人工的に管理できる」という操