光合成研究 18 (2) 2008 42 盗葉緑体により光合成する嚢舌目ウミウシ 名古屋大学 遺伝子実験施設 山本義治 1.はじめに ウミウシ(海牛)とは「貝殻を失った巻貝のなかま」であると よく言われる。広義では後鰓類全般をさしアメフラシやクリ オネが含まれる。英語ではsea slug(海なめくじ)と呼ばれる。 色や形は様々で、擬態がうまくなかなか見つけられないく らい目立たないものから驚くほど派手なものまでいる。愛 嬌のある外観*1 の種も多く、近年ではダイバーに人気があ るとのことである*2 。 こんなウミウシであるが、中には盗葉緑体(kleptoplasty) を行い光合成する種がいるということで興味を持ち昨年頃 から研究を開始した。研究体制としては千葉大・海洋バイ オの平野研、北大・室蘭臨海実験所の本村研、奈良女子 大・理の遊佐研そして著者が所属する小保方研(名大・遺 伝子、京都