「控えおろう、この紋所が目に入らぬか!」――ジャジャーン!(印籠を提示)――「ハッ(動揺)、ははーっ!」 日本人なら知らぬ者はいないであろう、『水戸黄門』の名シーンだ。 さて、このシーンはなにゆえ成立するのかと考えていくと、なかなか興味深い。印籠を提示する助さんサイドも、またそれを示された悪代官たちも、あの印籠が水戸藩主・徳川光圀である証拠で、かつ黄門様は偉いと認知しているからこそ「ははーっ!」となるわけだ。 この関係性は、企業のコーポレート・アイデンティティ(CI)の意味合いを考えるうえでわかりやすい。今や「ブランディング」という言葉で語られることが多くなったCIという概念。今回は、数々のCIを手がけてきた株式会社SHIFT代表取締役の小田嶋孝司氏をゲストにお迎えし、そもそもアイデンティティとは何か、ロゴマークの果たす役割とはどのようなものなのか、改めて企業ブランディングの原点について考