東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域のうち、最も放射線量が高い帰還困難区域の除染に国費を投入する政府方針に対し、自民党内で「事実上の東電救済だ」と批判する声が上がっている。環境省は二〇一七年度予算の概算要求に関連経費を盛り込む予定だったが、金額を明示しない「事項要求」とし、費用負担のあり方を引き続き議論することになった。 (宮尾幹成、大野暢子) 帰還困難区域は福島県の七市町村にまたがり、滞在が原則認められていない。除染も手付かずだ。政府は五年後をめどに同区域の避難指示解除を目指し、洗浄や表土はぎ取りなどの除染に加え、線量の低下につながる公共事業を計画。具体的には、区域内に「復興拠点」を設けるための建物解体・撤去や土壌入れ替え、道路の基礎整備・舗装を想定している。 国・地方自治体は、過去五年間に実施した避難指示解除準備区域や居住制限区域などの除染に要した約一兆八千億円のうち約七千億円を東電