台風10号の豪雨による浸水被害で9人が死亡した岩手県岩泉町の高齢者グループホーム周辺に、町が避難勧告を出していなかったことが31日、わかった。町によると、避難勧告を出す基準は超えていたが、対応に追われて出す機会を逸してしまったという。 一連の水害で、岩手県内ではほかに2人が死亡し、北海道で3人が行方不明となっている。岩泉町のグループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」では、小本(おもと)川の氾濫(はんらん)で土砂が流れ込み、入所者9人が遺体で見つかった。施設関係者によると、入所者は男性2人、女性7人で、認知症の症状があり、2人は車いすを使っていたという。 国土交通省によると、「楽ん楽ん」では水防法に基づく避難計画が策定されていなかった。同法では、浸水想定区域内にある高齢者施設は避難計画の作成などの努力義務が課されるが、楽ん楽んがあった区域は浸水想定区域に設定されておらず、指定の対象外だった。 岩