私は2009年に岐阜県の観光局長を拝命した。それ以前の県のインバウンド宿泊統計数は約15万人、いまは約100万人前後の数値となっている。 空港も港もない日本の地方都市に、これほどの観光客が訪れるようになったのには、渡航ビザの緩和など国の施策の後押しや、県内の観光事業者、世界遺産の白川郷を有する白川村や高山などの各市町村の努力もあったが、いちばんの理由は、県として戦略的なターゲットとプロモーションを見極め、実施したことが大きいと考えている。 その戦略の大きな特徴は、「観光」と「食」と「モノづくり」のプロモーションを一緒に行うという、当時「三位一体」と呼んでいた手法を取り入れたことだ。 それは言葉の通り、観光プロモーションの際に、例えば飛驒牛や富有柿などの「食」と、それらに関連する美濃和紙やテーブルウェアとしての美濃焼、関の刃物などの「モノづくり」を一緒に伝えること。それにより、岐阜ならではの