「ガラが悪い」といわれ、住まいとしての評価が低い“まち”がある。たとえば首都圏では東京都足立区や神奈川県川崎市といった自治体だ。だがデータをみると、実際の犯罪発生率は低い。なぜデータとイメージが乖離しているのか。行政評論家の大原瞠氏は「センセーショナルな犯罪報道が誤解を広げている」と指摘する――。 ※本稿は、大原瞠『住みたいまちランキングの罠』(光文社新書)の一部を再編集したものです。 「治安の善し悪し」と「ガラの善し悪し」は違う 私たちが引っ越し先を決める際、転居候補地のまちの治安の善し悪しを気にしない人はまずいないでしょう。 市区町村ごとの治安の善し悪しをわかりやすく比較する指標としてよく引用されるのが、各都道府県の警察が発表している「市区町村別刑法犯認知件数」を各地の人口で割って出した「人口1万人(または千人)当たりの刑法犯認知件数」というものです。わかりやすくいえば人口当たりの犯罪