スキャンダルにまみれたポップの帝王を失って初めて、アメリカは気付いた。彼に対する深い愛に、そして彼の存在の大きさに——。 50歳からの復活に、マイケル・ジャクソンは懸けていた。かつて時代のアイドルだったアーティストは、スキャンダルにまみれた10年余の沈黙を経て「THIS IS IT!(これが最後だ)」と題するコンサートツアーを仕掛け、6月25日に最悪かつ絶妙な死を迎える直前までリハーサルに励んでいた。 ツアーはロンドンのO2アリーナで今年7月に幕を開け、来春までかけて50回行われる予定だった。もちろん、チケットはすべて売り切れていた。このツアーを、マイケルは「最後のカーテンコール」と呼んでいた。つまり、これが最後のライブということ。でも、それだけではなかった。最後の最後に、マイケルは自分の真実をさらけ出し、みんなに(とりわけ祖国アメリカのみんなに)昔のことを思い出してほしかったのだ。何十年