※試案 89式を胸に抱えたまま、大崎駅前から撃ちこんでくる銃弾を避ける。 オレたち四人は、駅前地下入り口のコンクリート壁を背に座りこみ、突撃のタイミングを待っている。 背後からは、無数の弾丸がゴリゴリとコンクリートを削る音。 「いいか!敵をここで食いとめないと戸越銀座まで一気に抜かれるぞ!」 隣で山下が鼓舞するように言うが反応は無い。 オレも無視した。 ミリヲタのテンションにはついていけない。 敵は強靭に鍛えられた職業軍人。 本当は今ごろ会社でExcel関数と戦うはずだった自分が、まさか週の真ん中にアサルトライフル抱えて今や戦線と化した大崎で戦うことになるとは思いもよらなかった。 五反田側から山手線沿いにまわりこんだ工藤の部隊が援護射撃を始めた時点で突撃開始。 要は、注意を引きつけ正面突破。 DQNでも思いつくようなシンプルな計画。 ミリタリー大好き山下以外は、悲壮な顔をしている。 プロの