英国が欧州連合(EU)を2月に離脱してもうすぐ10カ月、年末に移行期間が終わろうとしている。 もう時間がない。ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、11月25日「これからの数日が決定的になる」「EUは『合意なし(NO DEAL)』のシナリオに十分な準備をしている」と欧州議会に対して述べた。 今日に至るまで、英国政府とEUは、英国政府が議会に提出した「国内市場法」をめぐって、大紛糾している。 この法案をEUとの関係だけで見るならば、それほど話は入り組んでいない。問題は、この法案は、連合王国解体のリスクをはらんでいることだ。 本題に入る前に、今までの経緯を説明しておきたい。 EUが英国を提訴しようとするジョンソン政権は、9月9日、この「国内市場法」案を議会に提出した。 EUと大問題になったのは、EUと英国の離脱協定で北アイルランドに関する取り決めの一部を、英国が一方的に変更する権