「俺はひどい死に方をすると思うんだ」 とある起業家の男性が、そう言った。 「そんなに沢山、やましいことがあるんですね」と返しかけてやめたときに、「塩谷さんは、どんな死に方をすると思う?」と聞かれた。 「うーん、死に方、ですか」 考えたこともなかった。 「特にこだわりはないですが、痛くなかったらいいですね」 我ながらつまらない返事だなぁ、と思った。 正直、死ぬことなんて、考えたこともない。 だって、今がとても忙しいし、楽しいし、考えるべきことは他にたくさんあるし。 「でも、なんとなくだけど、自分は幸せに死ぬんだと思っています」と、ぼんやりとした考えを答えた。 「楽観的ですね」 と言われた。 違う、死ぬのは怖い。いや、正確に言えば、死ぬことはとても怖かった。 今から17年前。小学校5年生の頃まで、私は毎晩死ぬことばかり考えていた。 「1999年の7月に、地球が滅亡するって、ノストラダムスって人