東北大金属材料研究所などの研究チームは、電流を通さない絶縁体を使って電気信号を伝達することに成功した。電子そのものが移動する電流ではなく、電子の自転(スピン)が次々に伝わる性質を利用する方法で、パソコンや携帯電話などに使われる集積回路サイズなら約8割の省エネが可能という。論文は11日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。 通常の集積回路などは、金属や半導体に電流を流すことで電気信号を伝達する。しかし、電流が流れる際には金属などの内部抵抗による熱(ジュール熱)が生じ、エネルギーを失うため、素子の小型化や省電力化の妨げになっていた。 同研究所の斉藤英治教授(物性物理学)らの研究チームは2006年、白金など一部の金属に電流を流すと、電子のスピンの方向が次々に変化して隣の電子に伝わる「スピン波」が生じたり、逆にスピン波が金属に電流を生じさせたりする現象を発見。この現象を利用して、電気信号を伝達するこ