止まらぬ気候変動、懐かしい景色が消えていく―― その地域だけによく見られる植物、というのは土着の神様たちのようなものではないか。 幼少期に南九州で見た巨大なシダ群、現在東京で住む地域に圧倒的に多いヤブミョウガ、八ケ岳ならマルバダケブキ。そういうものが木陰で群生をつくり、木漏れ日が差しているのを見ると、荘厳な気持ちになる。 「日本の底力」と呼ばれるものは、消えていこうとしている小さな神様たちそのものも、そうなのではないだろうか。 神様たちの居場所を、引っ越し先を、つくらなければならない。では、どこに? 自然をまっすぐに見つめ、日常を超えた領域を流れる〈もうひとつの時間〉に 自然の一部である私たちの核心を追うエッセイ。 【目次】 第一章 眠っている種 時間をかけて、取り戻す 何を見ているのか 人には見えない場所で 第二章 逡巡 繰り返すのか 藪のなか 冬の群れ 第三章 細胞の記憶 わかりたい気

