製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンに関する研究論文の不正事件で、同社元社員の白橋伸雄容疑者(63)=神戸市=が論文のデータを改ざんしたのは、特許が切れるのを目前にディオバンの売上高が落ちていた時期だったことがわかった。この論文は、同社が新たに発売した類似薬の「効果が高い」と結論づけたもので、同社はこれを広告に使い、類似薬の売上高を伸ばしていた。 東京地検特捜部は、データ改ざんの背景には、ディオバンの売上高の落ち込みを補う目的があったとみて論文作成の経緯を調べている。 特捜部は11日、京都府立医大がディオバンの効果を調べるために実施した研究でデータを改ざんしたとして、白橋元社員を薬事法違反(虚偽記述・広告)の疑いで逮捕した。元社員は大学からデータの解析を依頼され、2010~11年に改ざんデータを医師らに提供し、海外の医学雑誌に論文を掲載させたとしている。