福島第一原子力発電所の事故を受け、ドイツでは州選挙で原発反対派の緑の党が躍進するなど反原発の世論が活発化している。経済界の動きはどうなのか。現地の 状況をドイツの経済ジャーナリストのアンドレアス・ガンドウ氏がレポートする。 地震・津波・原子力発電所の事故という三重の大惨事が、ドイツに社会的・政治的な大変動をもたらしている。テレビが映し出す被災地域や被災者の窮状、とりわけ煙を噴き上げる福島第一原発の現状を目の当たりにして、ドイツ人の感情は大きく揺り動かされた。それはただちにドイツ全土で25万人が参加するデモへと発展し、デモには若い家族が多数参加した。地方選挙の結果にも影響を与え、経済的、技術的、社会的にもその影響は広範囲にわたる。 ■ドイツ政権に衝撃与えた福島の事故 物理学の博士号を持つアンゲラ・メルケル独首相は、大企業を基盤とする与党キリスト教民主同盟(CDU)の中でも多数派に属し、