日本三名泉に数えられ、年間300万人が訪れる群馬県の草津温泉。湧出量は毎分3万2300リットルで全国トップ。自噴泉で有名だが、草津っ子は「泉質も日本一」と口をそろえる。 その草津を揺るがしたのは、3年前の春。隣の嬬恋村が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に、地熱発電のための資源開発の調査を申請したのだ。候補地は草津温泉から約3キロ離れた鉱山跡で、出力1100キロワット。NEDOが掘削、村が発電所を運営し、電力会社に売る。雇用創出につなげ、15年間で約16億円の投資を回収する構想だった。 ■ ■ 「地熱開発でお湯が出なくなる」。草津温泉はその年の7月に反対集会を開き、約1100人が集まって反対決議を採択した。実は、草津と嬬恋の対立は、県が主導して地熱開発に乗り出した昭和50年代に遡(さかのぼ)り、「30年戦争」とも言われている。 草津の温泉旅館の女将(おかみ)らでつく