はじめに 本稿は、芸術の存在論(ontology of art)は諸芸術をひとつに包括するような単一の説明を目指すべきではなく、わたしたちの実践の分析にもとづいた存在論として組み立てられることが必要であると主張する、哲学者エイミー・トマソンの論考のまとめである。ごく簡単な各章のまとめを記載している。 はじめに 書誌情報 本論 概要 イントロダクション 1. 近年の観点 2. 論争を評価する:わたしたちはなにをしているのか? 3. 答えられない問い 4. 改訂的応答 5. 結論 コメント どんな論文? 有用さ 発展性 関連文献 メモランダム 書誌情報 Thomasson, Amie L. "Debates about the ontology of art: what are we doing here?." Philosophy Compass 1.3 (2006): 245-255. 本
2017年06月07日(水) お知らせ|書籍|教職員・院生|書籍・企画のご案内 【イベント】『芸術の言語』から現代の分析美学へ ――5人の若手研究者が徹底討論!
鷹見一幸 @takamikazuyuki 埼玉県北部に棲息し、主に角川書店と早川書房で本を書いているが、ツィッター当局からは無認可の無審査なので、ここでは作家ではなく「物語製造業」が正確な呼称。基本的に「ツィート非公開の方」「ビジネスがメインの方」は、ブロックさせていただきますのでご了承ください。プロフィール画像は海上自衛隊掃海艇「たかみ」 takamikazuyuki.blog.ss-blog.jp/2022-04-20 鷹見一幸 @takamikazuyuki 最近は出版契約書に「主人公や地名を変えても、タイトルを変更しても同一の世界観の物語を書いてはならない」みたいな縛りが盛り込まれていて、私のように、どこかで繋がっている世界観の物語を書きたい人間には、実に厳しい。契約書の文面変更を申し出たこともあるが、法務がいい顔をしないらしい。 2017-06-04 16:59:43 鷹見一幸
■美学と科学の距離を縮める試み 20世紀の英米を中心とする美学の世界に本書が与えた影響には、衝撃的なものがあった。なにせ、序論から「美学の文献の大半に共通する諸見解を片っ端から否定する」とある。しかも、否定される最大のものが、美学を他の分野から独立した学問の一領域として扱うことなのだから。作品への美的な価値判断を行う美術批評からも、冷ややかな距離を取る。「芸術作品は競走馬とはちがって、勝者を決めることが第一目的ではない」というのだ。批評家を名乗る私にとっても穏やかではいられない。 だが、この引用文ひとつとってもわかるように、本書は、たんに学術的に厳格なだけではない。随所でウィットに富み、ときに毒舌でさえある。それはおそらく、本書が大学で開かれた講義をもとに書かれていることによるのだろう。その叙述は、およそ体系的というよりは、学生という他者を前に教室で自問自答を繰り返す、ソクラテスのような哲
【盛況のうちに終了、資料を公開しました】『芸術の言語』から現代の分析美学へ――5人の若手研究者が徹底討論! 2017年6月30日18時から東京大学駒場キャンパス 駒場コミュニケーション・プラザ北館2F 多目的教室4で開催しました。 当イベントで使用された資料(松永伸司氏×岩切啓人氏×源河亨氏×高田敦史氏×森功次氏)アップしました。ぜひ、ご覧ください。 【資料はこちら】 紀伊國屋書店ウェブストアでも、グッドマン! グッドマン・リターンズ 新しい古典がやってくる! 『芸術の言語』刊行記念 最強のブックフェア 公開! ■『芸術の言語』はもちろん【リターンズの基礎】【芸術と記号の理論】【ホンモノの芸術作品?】 【知覚・情動】【芸術形式/芸術のメディア】【芸術的認識と科学的認識】多彩なカテゴリでフェアをWEBに表現されています。ぜひ、ご覧ください! 『芸術の言語』刊行記念フェア「グッドマン・リターン
イタリア北部ミラノを象徴するゴシック様式の大聖堂前のドゥオモ広場に最近、約40本のヤシの木が植えられ、景観の是非をめぐって市民らの間で論争となっている。出資したのは伊各地への進出を計画する米コーヒーチェーン大手のスターバックス。進出への反感も相まって、右翼政党なども反発を強めている。 伊主要紙レプブリカなどによると、ドゥオモ広場と熱帯植物のコラボはイタリア人建築家が発案し、コンペを経て決定。3月からはバナナの木約50本が追加で植えられる予定という。 ただ、世界に名高いゴシック建築の大聖堂と向き合う形で南国の庭を再現する試みには、著名な建築家らから反対意見も少なくなかった。地元ミラノのサラ市長もインスタグラムで市民の意見をうかがうように、「よい考えか否か? ミラノは大胆な街だけど」と戸惑い気味。 反移民を掲げる右翼政党「北部同盟」は、スタバが難民の雇用を検討していることに反発。突如現れた熱帯
カロル・タロン=ユゴンの『美学への手引』(文庫クセジュ、2015年)のやつを読みました。まぁ読みやすさはあるけど、たぶん原著ではこれは「(任意の哲学ターム:例えば外延とか)」のことを言っとるんやろなーという語に一般的でない訳語があてられていたり、訳は読みやすさ偏重だなという感じです。 自戒も込めてだけど、なんていうか美学の人は20世紀の人(主にフランス人やドイツ人の)の理論をコネコネして作家や作品になんか語った気になるのではなくて、ちゃんとまず足場になる哲学を学ぼうよという気持ちになることが多々ある*1。ので学んでいるしもっと学びたいと思っている。 まぁ、分析美学の扱いが微妙だというのは知っていた(↓)のだけど、こういう訂正は誰かが入れておかねばならんだろうと思ったのでいれます。 @conchucame その後出た本としてはタロン=ユゴンの『美学への手引き』がある。悪い本ではないけど、話は
2016年6月4日、ムーンライトブックストア佐倉店で哲楽公開インタビュー「風間コレヒコさんに会いにゆこう」が開催されました。風間コレヒコさん流のパンクハードコアの楽しみ方について、当日の記録をもとに加筆・編集の上、お届けします。 今回の公開収録のためにご協力頂いたLess than TVの谷ぐち順さん、「U.G Man」、「VELOCITYUT」、「CARRE」、「人間」の皆さんに感謝申し上げます。御陰様で当日は大変な盛り上がりでした。 インタビュー音源全体の配信は楽曲の著作権の関係で実現できなかったのですが、個別の楽曲はYoutubeやプレイヤーから再生できるようにしましたので、ぜひお聴き下さい。 なお、当日の記録を加筆するにあたって、収録後の質疑応答での内容を参考にさせて頂きました。イベントにおいで頂いた皆さん、どうもありがとうございました! インタビュー ——この番組はナカニシヤ出版
Corrections and Changes as of June 26th, 2013: See the end of the post for details on some changes and fixes to errors in the data. What have English-speaking philosophers been talking about for the last two decades? I’m asking—and presenting an answer to—this question partly out of an ongoing research interest in philosophy, partly out of some recent “Does anyone know …?” questions I’ve been aske
「現代美術の巨匠」李禹煥(イ・ウファン)氏(80)の作品を偽造した後、日本に逃走していた容疑者が拘束された。ソウル中央地裁チョ・イヨン令状専門担当部長判事は、李氏の絵画を偽造した容疑(私署名偽造)がもたれている偽造専門家H(66)に対して「犯罪事実が弁明され、逃亡のおそれがある」として12日、拘束令状を発行した。これに先立ち、ソウル警察庁知能犯罪捜査隊は日本に逃走して逮捕されたHに対し、私署名偽造容疑で拘束令状を申請していた。 Hは李氏の模作取り引きに対する警察捜査が始まると、昨年7月、日本へ逃走した。警察は日本現地の警察と協力して逃走9カ月ぶりの先月13日にHを検挙した。Hはビザが満了して不法在留者状態だったという。Hは今月10日、韓国に送還された。 警察は李氏の作品である『点から』『線から』の模作が2012~2013年ごろに仁寺洞(インサドン)の一部のギャラリーを通じて数十億ウォン
戸田山さんはよく文体が言及されるけど『交響するコスモス』に載ってるような終始キリッとした文章もあれば、雑誌の『科学哲学』あたりの論文の、元々持ってるユーモアが滲み出てる程度の文章もあるわけで、本書はどうなのかというと一般向けの新書ということでかなり砕けた調子なので軽いノリが苦手な人は注意な。あまり経験的探究に頼らないタイプの哲学アプローチに対して一部挑発的なところもあるのだが、(戸田山さんのような)この手の人達は「もう少し中立的な書き方を!」みたいなお行儀のいいこと言っても火に油を注ぐだけだったりするので、よほどの記述でなければ「偏った人もよのなかには少数は必要だよな」とかなんとか思ってクールに受け流すのがいいと思う(適当)。まあこの著者さんはバランスの取れたフェアな書き方やろうと思えば非常にうまくやれる人なんですけどね。やりたがらないだけで。 本書の内容をざっくりいうと情動の哲学と分析美
北海道立オホーツク流氷科学センター(北海道紋別市)が主催した写真コンテストで、クジラの死骸の上に男性が立ち、ガッツポーズをしている姿を撮影した作品が最優秀賞に選ばれた。これに対し、「生命に対する侮辱だ」などと批判が相次ぎ、同センターは受賞の取り消しも含め対応を検討している。 問題となっているのは9日に発表された第25回「オホーツクの四季」写真コンテストで最優秀賞を受けた作品「征服」。北見市の男性が撮影し、審査結果はセンターのホームページで発表されたほか、北海道新聞にも掲載。同センターによると、「生命を侮辱している」などの批判や、審査員の判断を疑問視する声などが電話で寄せられたという。また、ツイッター上でも「自然と命を冒涜(ぼうとく)しているようにしか見えない」「なんか嫌な感じ」「すばらしき『オホーツクの四季』に呆(あき)れました」などの批判が相次いだ。 コンテストには北海道を中心に、全国の
コンピューターグラフィックス(CG)で裸の女児をリアルに描いて販売したら、児童ポルノにあたるのか。そんな争点の刑事裁判が東京地裁で続いている。検察側は「CG技術を悪用した犯行」として懲役2年罰金100万円を求刑。弁護側は「芸術作品で、無罪だ」と訴える。判決は3月15日に言い渡される。 裸の女児の写真データを素材とし、パソコンで児童ポルノ34点を作製して販売したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造など)の罪に問われたのは岐阜市のグラフィックデザイナーの男性被告(55)。警視庁によると、CGを児童ポルノとして摘発した初めての事例だった。 被告が参考にしたのは、1980年代に出版された写真集。問題のCGは一見すると写真にも見える精巧なものだが、元の写真にはない体のパーツが描かれたり、構図やポーズが違ったりするものもあった。 昨年暮れの論告で検察側は「実在する女児の写真を元に極めて似せて描
シノドス編集部から「分析美学について記事を書いて下さい」と依頼を受けたとき、困ったな、というのが正直な感想だった。ある学問について、よくわからないので知りたいと思うことはある。とりわけ新興の、目新しい学術分野が出てきたときはそうだ。神経倫理学とは? 人口経済学って何? 今回の「分析美学ってどういう学問?」という質問もおそらくこの種の質問だろう。 たしかに近頃、「分析美学」という学問分野は、新しく、盛り上がっている学術分野だという印象を与えているようだ。日本では2013年に『分析美学入門』(勁草書房)、2015年には『分析美学基本論文集』(勁草書房)といった翻訳が刊行され、2015年秋の分析美学をテーマにしたブックフェア(紀伊国屋書店新宿南口店開催)は記録的な売り上げを残した(注1)。だが困ったことに、分析美学というのは、新しく現れてきた学問でも、最近盛り上がっている学問でもないのだ。 この
ナラティブを分解する——ビデオゲームの物語論(講演資料) Gamasutraでの「narrative」の用法 – 9bit ゲーム研究をされている松永伸司さんが立命館大学での「分析哲学と芸術」研究会にて発表された「ナラティブを分解する——ビデオゲームの物語論」という講演のレジュメが公開されていて、これがとてもおもしろかった。 前半は最近コンピュータゲームを語る際に海外で重視される、という文脈で輸入語的に紹介されややバズワードの状況を呈している「ナラティブ」という言葉が言い当てようとしているゲーム内の要素を分解し、それを既存の物語論の枠組みに接続する試みで、これもおもしろいのだけど、この前半の議論を引き継いで、ゲームならではの体験である「プレイヤーについての物語」を感じさせる要素の説明として提案される「行為のシミュレーション(の写実性)と「物語のシミュレーション(の写実性)」という概念がとく
美術館の雰囲気は好きだけれど、充分に楽しめているかは疑問が残る。あるいは、「行ってみたいけれど知識がないから」と躊躇してしまう。そんな人は少なくないと思いますが、そこでオススメしたいのが、『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』(藤田令伊著、秀和システム) 鑑賞者の立ち位置を大事にしながらアートの愉しみを広げる活動に尽力しているというアートライターが、「見る力」の養い方や、美術館の楽しみ方を紹介した書籍。著者の言葉を借りるなら、美術館という素敵な箱を通して、自分の感性やセンス、ものの見方を磨く方法を探っていくことを目的としているのだそうです。たとえば、こんな具合。 ・美術館のカフェに座ると「人生の景色」が見えてくる ・金曜日の夜に美術館へ行くと、素の自分に出会える ・美術館を早歩きで歩くと、好きな作品が見つかる ・イヤホンガイドを上手に活用するちょっとしたコツ (「Prologu
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く