先日の新聞で、伊藤園が社内での動物実験を廃止し、資生堂も近い将来に廃止する予定だという記事を見かけた(2010年5月29日、読売新聞)。EUでは化粧品や健康製品について動物実験をした製品の販売を禁止する法律がすでに2009年に施行されており、アメリカでも企業による取り組みが進む中で、日本の企業も欧米の市場を維持するために対応せざるをえなくなったということらしい。 このニュースは、多くの日本の消費者にとっては奇異に映ったのではないだろうか。製品の安全性がうるさく言われる傾向にある現代において、製品の安全検査の重要な手段となってきた動物実験が(化粧品などに限定してとはいえ)禁止されるというのは時代に逆行しているような印象を受ける人も多かったかもしれない。 しかし、欧米諸国では動物実験の廃止は非常に大きな社会的な流れとなっている。これは、19世紀以来の動物愛護運動とは一線を画した「動物の権利運動