中国の芸術家チャン・シャオドン(張曉棟)氏は、北京にある自身のアトリエで、何百枚もの薄紙を1枚ずつ重ね、1枚の完全かつ完璧な絵を完成させる。この精巧に作られた本を開くと、ページがまるでアコーディオンのベロ―ズ(蛇腹)のように動く。 この中国の古代芸術「龍鱗装(りゅうりんそう)」の歴史は、今から1000年以上前の唐の時代までさかのぼる。王族や読み書きができる上流階級の家庭で代々伝わった龍鱗装の書籍は、完成品が龍に似ており、各ページが龍の鱗に見えることからそう呼ばれるようになった。 現在、龍鱗装の書籍はほとんど残っておらず、龍鱗装の技術自体も絶滅の危機に瀕していたが、チャン氏はこの技術を研究し、再生させることを決意する。チャン氏は、故宮博物院に1冊だけ残っていた龍鱗装の書籍を参考に自ら印刷、装丁を行い、4年がかりで龍鱗装の書籍を完成させた。この作品は、香港で開催されたアート展示会「アート・セン