仕事に今ほどクリエイティブ(創造的)が求められる時代はない。経済界は「創造的な人材」を求め、学生を社会に送り出す大学にも「クリエイティブ・ライティング」など、この語を冠した課程が山ほどある。 「今、労働者のモデルは、米アップルの創業者スティーブ・ジョブズ。iPadなどを次々と生み出し、アイデア一本で生きるイメージです」と、編著書『アフター・テレビジョン・スタディーズ』(せりか書房)で「批判的クリエイティヴ産業論へ」を説いた東京芸術大准教授の社会学者、毛利嘉孝(よしたか)さん(51)は語る。「でも、皆がジョブズになれるわけがない。99%は『クリエイティブにならなければ』という強迫観念だけを持ち続けることになる」 クリエイティブ産業とは音楽やデザインなどの著作物を作り出す業種だけではない。今やコンビニや居酒屋のアルバイトでも、客の応対に創造性を求められる時代なのだ。「経済全体がクリエイティブと