米では差別と認識 小宮友根・東北学院大准教授 セクハラ告発の動きが日本に波及しないのは、米国の芸能界という二重に遠いところで起きた問題としてとらえられているためではないか。米国での告発の広がりは、芸能界という特殊な世界でもあってはならないことだ、という人々の認識が示された結果と言える。 セクハラには二つの形態があり、一つは利益・不利益と引き換えに性的関係を要求する「対価型」。もう一つは望まぬ身体接触や性的言動によって就業環境を悪化させる「環境型」だ。どちらも相手を対等な労働者ではなく、自分の都合で性的関心を向けてよい対象だとみなす意識が根本にある。 米国では1970年代以降、セクハラは差別を禁止する公民権法に反するという考え方から裁判で争われ、女性に対する差別の問題という理解が広がった。一方、日本では外来語として80年代末から知られるようになったが、その差別問題としての構造が十分理解されて