突然の交代劇だった。「本日の取締役会にて、私は6月で社長を退任し、現在、常務執行役員で、4月に専務執行役員となる八郷を社長とする人事の内定を致しました」。 2月23日、ホンダが社長人事を発表した。伊東孝紳社長(61)が退任し、中国での生産を統括する八郷隆弘常務(55)が4月からの専務を経て、6月に新社長に昇格する予定だ。 2014年、新型「フィットハイブリッド」の度重なるリコールや、タカタ製エアバッグの不具合など品質問題に揺れたホンダ。昨年末、伊東社長は各メディアに対し、「このタイミングでの社長交代はあり得ない」「責任は放棄しない」などと続投の意思を表明していた。それだけに、今回の社長人事は、あまりにも唐突感があった。 ◆ ◆ 実は、そのわずか4日前の2月19日。伊東社長は、東京・青山本社で本誌の単独インタビューに応じていた。インタビューの最後に、本誌はズバリこう尋ねた。 「14年