移りゆく社会を考えるきっかけに 深澤 直人(2011年度グッドデザイン賞審査委員長) 2011年度グッドデザイン賞では、大賞が東日本大震災の被災地復興に寄与したナビゲーションシステムであったり、金賞12件中5件が医療機器であったりと、い わゆる狭義のデザインで語られる一般消費者向けの製品よりも、社会性を帯びた製品や事業、システムの受賞がこれまで以上に顕著となりました。社会貢献や医療機器でもデザインが語られるようになったのは、今、そうした事物に期待が寄せられているためで、時代を反映していると感じます。今回はインターネットを通じた受賞者投票も実施しましたので、参加者の方々も、社会的な視点から「グッドデザイン賞」をとらえたとも考えられます。 社会的な視点の強弱が受賞を左右したということはありません。ただ、審査で共通するマインドとして、はじめに「適正」と いう言葉を提示しました。「新たなモノは生