「生きている化石──」なんと胸の踊るフレーズであることか。ヘルメットのようなごっつい頭に、トゲだらけの体。スラリと伸びた丈夫なしっぽ。数億年前から姿が変わっていないことを受け、ヤツ…… “カブトガニ” はそう呼ばれている。 “カニ” と名付けられているものの、その実クモやサソリなどと同じ鋏角(きょうかく)類という謎っぷり。海外では食べることもあるそうだが、日本では天然記念物のため口にすること能(あた)わず……と思いきや、岡山県笠岡市にて食用カブトガニを発見した。しかも餡子入りときたもんだ。 ・食べるところがない? カブトガニについて、江戸時代中期の『大和本草』という本草学の書物では「形大なれども肉少なし。人食せず」といったことが記されている。古くよりカブトガニは、食べるために不向きとされていたことが伺える例だ。確かにパっと見、食べるところは少なさそうだな。 日本有数のカブトガニ繁殖地として