敵という〈鏡〉に映しだされた赤裸々な真実。 日本軍というと、空疎な精神論ばかりを振り回したり、兵士たちを「玉砕」させた組織というイメージがあります。しかし日本軍=玉砕というイメージにとらわれると、なぜ戦争があれだけ長引いたのかという問いへの答えはむしろ見えづらくなってしまうおそれがあります。 本記事では、〈米軍が日本軍を「三流の兵隊」呼ばわりした理由…米軍が日本兵捕虜から得ていた情報〉にひきつづき、日本兵の日記から、対米戦下の日本兵の士気、意識についてくわしくみていきます。 ※本記事は一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』から抜粋・編集したものです。 日本兵の日記を読んでみた 米軍は戦場に遺棄された日本兵の日記を捕獲して解読、彼らの士気を探ってはIB(Intelligence Bulletin『情報公報』米陸軍軍事情報部が1942〜46年まで部内向けに毎月出していた戦訓広報誌)