この連載「東大院生のポルノグラフィ研究ノート」 は、始まったのが2016年4月5日だから、この記事が公開された翌日で1周年を迎えることになる。 最近まで自分でも気が付かなかったのだが、私はこの1年間、「視線」や「リアルゲイ」などテーマを変奏させつつも、ずっと「AVのリアリティ」について書いてきたのだと思う。 思い返せば、私がAVのリアリティに人一倍こだわりを持っているのは明らかだった。私が一度だけAV関係者にTwitter上でガチギレしてしまったのも、リアリティの受容に水を差されたからだった。そのエピソードを話す前に、もうちょっと一般論を語っておこう。 さて、「AVはリアルだ」という言明はときに危険だ。震災AVの回で「いくつか留保を置くとしても、AVは『リアル』を捉えるメディアだ」と書いた「留保」とは基本的にそういうことだ。 AVが「リアル」なセックスのお手本として視聴されたとして、「はじ