「高齢化率」という言葉がある。これは「総人口に占める65歳以上の割合」のことで、平成28年の時点で日本の高齢化率は27.3%(65歳以上の人口は3459万人)。もちろん世界一だ(平成29年版高齢社会白書・内閣府)。 高齢者が増えるということは、認知症の人も増えることは必然だ。認知症高齢者数は2012年で462万人となり、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であったが、認知症患者は今も増え続け、2025年には高齢者の5人に1人になると推計される。 認知症は決して他人事ではない。現在でも、親戚のお婆さん、あるいは上司の親など、あなたの身近でも認知症の人や、認知症の人を介護している人がいるのではないだろうか。自分の親も、いつか認知症を患う時が来るかもしれない。いや、自分だって早めに発症する可能性がないとは言い切れないのだ。 「認知症になったらおしまいだ」と漠然と考える人は多数派だろう。そんな
更年期障害の治療には、個人の症状や程度に応じて様々な薬が用いられる。しかし、明らかに女性ホルモンであるエストロゲンの減少による不快症状が強い場合には、ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy=HRT)が第一選択肢となる。 ホルモン補充療法には複数の治療方法がある そして、ホルモン補充療法(HRT)で用いる薬にも、経口剤、膣剤、貼布剤など複数の選択肢がある。このため、患者の年齢や不快症状に応じて、最も適した薬の投与方法や投与経路を選択することができる。いわば、オーダーメードのきめ細かな治療が可能なのだ。 以下に、HRTでよく用いられる薬の特徴を解説しておこう。 ●経口剤 最も頻繁に用いられるのは経口剤である。経口剤のメリットは、口に入れて飲み込むだけなので簡便で、薬の増量や減量が簡単にできることだ。デメリットとしては、胃腸や肝臓の弱い人には不向きな点があげられ
人の幸福感や安心感に影響をあたえるといわれる「オキシトシン」。オキシトシンは、9つのアミノ酸からできた「ペプチド(小さなタンパク質分子)」ホルモンだ。 脳にある視床下部で合成され、下垂体後葉から分泌され、信号を伝える神経伝達物質として働く。オキシトシンには、授乳期の女性に母乳の分泌を促す作用があり、愛情や信頼感にも影響するとされる。愛撫や抱擁などのスキンシップなどでも放出されるため、「抱擁ホルモン」と呼ばれることがある。 2005 年、スイスチューリッヒ大学経済学研究所のKosfeld 氏らは、健康な成人男性にオキシトシンを投与すると「他人への信頼」が増加するという論文を発表。ほかにもストレスを減少させる働きがあるなど、心理的な効果も次々と解明されている。 先日、麻布大などの研究チームは、オキシトシンの変化を調べ、犬が飼い主を見つめ、飼い主が犬にふれることで、お互いに心の絆を深めていくとい
睡眠中に舌が沈下することで気道が塞がり、呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)が「医療費の無駄。医者と医療機器会社のボロ儲けだ」という指摘が患者の間から漏れている。潜在的な患者は約260万人(人口の約2%)とされ、現在も約15万人が治療を受けるSASだが、保険診療で月々5000円もかかるという患者負担の詳細を取材すると、確かに無駄といわざるを得ない実態が明らかとなった。 「単なるイビキ」と軽視されがちのSAS。だが治療せずに放置すると、心筋梗塞などの突然死を招くリスクが高くなることは医学的に証明されている。さらに無呼吸による酸素欠乏は一時的な意識の喪失に近い眠気を催し、大惨事を引き起こすこともある。 2012年4月、群馬県藤岡市の関越自動車道で高速ツアーバスが防音壁に衝突し、乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った事故で自動車運転過失致死傷罪に問われた運転手は、裁判で「事故後にSASと診断
テレビCMやドラックストアの店頭でよく見かけるサプリメント「グルコサミン」。実際に飲んでいる人も多い人気商品だ。 「グルコサミン」は、軟骨成分である「プロテオグリカン」や関節液の「ヒアルロン酸」の原料となる。さらに、グルコサミンは軟骨成分の合成を助ける作用もあるため<グルコサミン=関節にいい>というわけだ。 また、関節部分の水分保持の働きをもつ「コンドロイチン」は、グルコサミンが元となる。 ちなみに、関節をスムーズに動かすのに必要なヒアルロン酸は、加齢とともに減少する。関節の痛みや不調に対してヒアルロン酸を注射するのは、潤滑成分を補うことで解決しようという考えからである。 そういうわけで、<グルコサミン=関節にいい>というイメージは一般的に定着し、サプリメントとしても高く認知されているのだ。 ところが最近、グルコサミン信奉者にとって、残念な報告がもたらされた。 それは『BMJ Journa
インタビュー「目指せフサフサピンピン!男性専門クリニック」第2回・メンズヘルスクリニック東京・小林一広院長 男性更年期障害の症状は、加齢にともない男性ホルモン(テストステロン)が低下することで起こると考えられおり、加齢男性性腺機能低下症候群(Late-onset hypogonadism:略してLOH症候群)と呼ばれる。 男性更年期症障害は多くの男性にとってそれほど身近に感じる病気ではないかもしれない。だが、小林一広院長はこれに警笛を鳴らす。 「基本的に更年期はそもそも女性の専売特許みたいなものと思われています。女性には閉経というドラマティックにホルモンバランスが変わる体のしくみがあって、その急激な変化に体がついていけない時期に体や精神的な部分にいろいろな症状が出てきます。それを更年期と呼ぶわけです。ただ男性の場合は閉経がないので、それほど急激にホルモンのバランスが変わる人もいません。しか
古代ギリシア語の「満ちる」「熟する」を語源とするオーガズム(英:Orgasm)。日本(語)では「性的絶頂」と訳されてきた流れから、とかく淫靡な印象が根強いが、その正体は……。 『JEZ-Molecular and Deve lopmental Evolution』(8月1日号)に掲載された、Gunter Wagner氏(イェール大学生態学・進化生物学教授)らによる論文によると、進化の過程から「女性のオーガズム」を考察した場合、元来それは「受精のために必要なもの」だった可能性が読み取れたという。 つまりそれは、「世界遺産」ならぬ「女体遺産」なんだとか。 射精へと至る男性のオーガズムは、精子を卵子に出合わせる(明確な)役割を果たしている。1970年代のマスターズ&ジョンソンの主張では「生理的な反応の大半は男女共通」とされてきたが、女性のオーガズムの役割については、従来「謎」の部分が多かった。
10~11月頃に憂うつな気分が始まり、2~3月頃まで続くのが、冬季型うつ病の季節性感情障害(SAD/Seasonal Affective Disorder)だ。 季節性感情障害は、冬季を中心に発症し、北米、北欧などの日照時間が少ない高緯度地域の発症率が高いため、日照時間や遺伝的な光感受性が原因といわれる。アメリカならワシントン州のシアトルの患者数が急増し、イギリス、フィンランド、ロシアなどでも一気に増える。女性に多発しやすいが、日本人の発症率は1~3%と欧米人に比べてやや低い。 季節性感情障害は、脳機能障害のひとつで、倦怠感、気力の低下のほか、過眠、過食などの兆候が強くなる。不眠や食欲減退に陥る一般的なうつ病とまったく逆の症状を示すことが多い。発症すれば、毎年繰り返すのが特徴だ。 朝陽を浴びよう!歩こう!青魚を食べよう!ストレスを解消しよう! 予防対策はないのか? 第1は、毎朝朝陽を浴びる
池袋の本院のほか、東京都内に3つの分院を展開する榎本クリニック。日本における精神科デイケアの草分け的な存在だ。同クリニックの深間内文彦院長に依存症の治療について話を聞いた。 「現在、当クリニックでは薬物、ギャンブル、そして性依存の問題を扱っています。最近増えているのはインターネッやスマホの依存。社会に"新しいもの"が登場して拡大すると、新たな依存症が生まれます」 「たとえば、パソコンのアダルトサイトの存在は、それにのめり込むことで依存者が現れる。サイトの運営者は、来訪者が中毒化するような衝動を喚起させる工夫をしてるわけです。"リピーターをつくる"、言いかえれば一種の依存をつくることが商売につながります。さまざまな依存症が増えるのは、我々の住む社会が仕組んだワナのようなものかもしれません。熱狂的なアイドルグループも、中毒的な魅力があるから惹き付けられるのです」 特に今の若者は、身近なものに頼
愛人の数は18人。病名はセックス依存症。そしてその代償として夫人に支払った慰謝料は7億5000万ドル(約600億円)──。 2010年、「セックス依存症」という概念を一躍日本でも有名にしたその人こそ、ゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズである。 ことの発端は、タイガー・ウッズが自動車事故を起こし、その原因が夫婦喧嘩だと分かったこと。警察の事情徴収などから明らかになった喧嘩の原因は、タイガー・ウッズの並外れた女遊びだった。 その不倫の相手は、ナイトクラブの経営者やウェイトレス、ポルノ女優などなど。なかでもあるポルノ女優の女性はマスコミでウッズとのメールのやり取りの内容まで赤裸々に明かした。 そのなかには「アナルの次には君の口にアレを挿入したい」とか「いま聖水プレイに病的なほど興味津々」といった内容が書かれていたとか。ゴルフ場での冷静沈着な様子とのギャップに、アメリカ国民のみならず、世界
安倍政権が掲げる「人口1億人」は維持できるのか? 1人の女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数(=合計特殊出生率)が、2015年は2年ぶりに増えた。微増ではあるものの、少子高齢傾向下の朗報には違いない。 5月23日に厚生労働省が発表した「人口動態統計」によれば、9年ぶりの下落現象がみられた2014年を昨年は0.04ポイント上回る1.46を記録した。しかし、人口維持に必要とされる数値2.07には依然としてほど遠い。 また、同統計に先立つ5月11日、厚労省研究班が「精神疾患の治療やケアが必要な妊産婦は年間4万人いる」という深刻な推計を公表した。これは全国の病院や診療所(計2453施設)で昨年11月に出産した妊産婦を対象に、それらの必要性を自己申告で問い、結果44%(1073施設)の回答を得て推計されたものだ。 全回答者(約3万9000人)のうち、治療やケアの必要性を判断された妊産婦は1551人
映画やTVドラマの濡れ場シーンでは、ほとんどの場合、つつがなくことが進んで男女ともに絶頂を迎える。 が、現実は双方が同じように“達する“のは容易ではない。特に女性の場合、体の構造の違いで「オーガズム」に達しにくい人がいるという、新たな知見で示された。 もちろん、官能度には個人差はあろう。だが、最大の問題は、単純な生体構造上の解剖学的な違いにあるようだ。 それを裏付ける検証を、米インディアナ大学医学大学院のLeslie Hoffman氏が実施。注目の報告は、『Clinical Anatomy』(4月4日付・オンライン版)に掲載されて話題を呼んでいる。 その驚きの報告によると、女性が性交時にオーガズムを得られるかどうかは、胎児期に育まれる身体の発達具合に左右されるというのだ。 陰核“高め”は摩擦を求める 胎児の陰核(clitoris: クリトリス)は、母親の胎内にいるときに、徐々に膣口から離れ
アスペルガー症候群(Asperger Syndrome)は、先天的な脳の機能不全によって、3歳以上の小児が発症しやすい自閉症だ。社会性・コミュニケーション・想像力に障害があるものの、知的障害や言語障害はない。 レオナルド・ダ・ヴィンチ、トーマス・エジソン、アルバート・アインシュタイン、スティーヴン・スピルバーグ、ビル・ゲイツ、スーザン・ボイル……、アスペルガー症候群を公表、あるいは噂される著名人は少なくない。 アスペルガー症候群はどのように発見された? 戦争が命運を分けたアスペルガー症候群のルーツを足早に辿ってみよう。 1939年9月、ドイツ軍によるポーランド侵攻に端を発した第二次世界大戦。ソ連軍の侵攻、ドイツへの英仏の宣戦布告が導火線になり、ヨーロッパ全土は戦場と化す。1941年12月、日米開戦の火蓋が切られ、世界は戦地に変わった。 激戦さなかの1943年、アメリカの精神科医レオ・カナー
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く