スティーブ・ジョブズは、カッコいい。 「今日、アップルは電話を再発明する」 「iPodはガムより小さくて軽いんだ」 プレゼンでそんな名フレーズを繰り出し、聴衆を前に話す心構えは「救世主的な目的意識を持つ」「禅の心で伝える」というのだから、もうレベルが違う(『スティーブ・ジョブズ――驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』日経BP社より)。卓越したプレゼン術は、世界中のビジネスマンが認めるところだろう。 しかし、スティーブ・ジョブズに我々がなれるわけではない。 それと同じように、本書『歴史を動かしたプレゼン』に書かれた、コロンブス、大黒屋光太夫、クーベルタン男爵などの先人たちが、国王や皇帝などを相手に披露したプレゼンの極意をサル真似してもあまり意味がない。 むしろ参考になるのは、彼らの失敗談だと思われる。 博報堂で長年、広告キャンペーンやテレビCMの企画提案をしてきた百戦錬磨の著者が、そ