旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、被害者が国に賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は1日、審理を大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)に回付した。全国12地裁・支部に起こされた同種訴訟では、1、2審判決の大半が旧法を違憲とする一方、国の賠償責任を認めるかは判断が分かれている。大法廷は来年にも旧法の憲法適合性と賠償責任の有無について統一判断を示す見通し。 旧優生保護法は「不良な子孫の出生防止」をうたい、障害者らに本人の同意を得ずに強制的な不妊・中絶手術をすることを認めた法律で、48年に議員立法で施行された。96年に障害者への差別的条項を削除して母体保護法に改定されたが、本人の同意を得たものも含めて不妊手術は約2万5000人に施された。2019年には被害者に320万円の一時金を支給する救済法が施行された。