ビジネスとソーシャル・イシュー(「社会問題」と訳してしまうと少しニュアンスが違うので、あえて英語のママ)との交差は、HBS留学中にもっとも刺激を受けた領域の一つであり、拙著『ハーバードMBA留学記』のなかでも一章を割いて論じた。 このテーマについて新しい視点を示し、2006年度のHBR(ハーバードビジネスレビュー)論文大賞に輝いたのが、マイケル・ポーター教授らによる論文 "Strategy & Society"である(期間限定でダウンロード可能)。これまでのように、CSR(企業の社会的責任)を企業に課せられた「責任」と捉えるのではなく、競合優位性を築くために戦略的に取り組むべき「機会」である、とした点が目新しい。 曰く、企業が社会的な問題に取り組もうとする際に、選択肢は無限にある。それは自社の事業とは関係ない一般的な問題から(例えば、「途上国の貧困撲滅」「アフリカ大陸のAIDS対策」は重要