商家(といっても、わたしが生まれた頃には、もう菓子屋はやめて、四丁目のビルだけになっていたが)に生まれたので、 お店を持つのが夢です という人が不思議で堪らない。もし、これから 店を持ってくれ なんてオファーを受けたら、全力でお断りする。商家で一番役に立たない 愛想なし だから、あまり人様と接触のない仕事をしているのである。 売り家と唐様で書く三代目 とは良く言ったものだと感心するが、わたしは五代目。四代目までは、なんとか元の店の後継の仕事を続けているが、わたしたち五代目は誰もそんな甲斐性がない。それは見事なくらいだ。五代目は全部合わせて7人。1人は社会福祉主事、3人はサラリーマン、1人は美容師、1人は主婦、で残りがわたしだ。曲がりなりにも店を持っているのは、美容師になった従弟だけだ。 札幌の真ん中の古い商店街に店があったので、四代目の父たち兄弟は今でもその古い商店街の中での付き合いが続い